一般会計は212億円(5%増) 7年度予算案 保育料完全無償化実施へ

 大船渡市は20日、令和7年度各種会計当初予算案を発表した。一般会計は現年度当初比10億9000万円(5・4%)増の211億9000万円で、4年度以来3年ぶりに現年度当初比を上回った。新規・拡大事業では、第1子の3歳児未満にかかる保育料・こども園使用料を市の独自支援で無償化し、全年代で完全無償化とする方針。21日招集の市議会定例会に提案する。

 

 7年度一般会計と6特別会計の合計額は306億4969万円で、現年度当初比10億7925万円(3・6%)の増。
 一般会計の歳入で最も多いのは、地方交付税の68億2320万円。次いで、市税42億9406万円、国庫支出金28億1773万円。自主財源が75億9581万円(35・8%)で、依存財源は135億9419万円(65%)。現年度当初に比べ、自主財源の割合が0・8ポイント増加した。
 歳出の予算額は多い順に民生費61億7584万円、総務費42億1718万円、公債費21億6620万円、土木費18億7710万円、教育費18億7390万円、衛生費14億8184万円──など。各種事業推進に充てる投資的経費は17億7759万円と現年度比約2億5000万円減で、歳出全体の8・4%にとどまった。
 新規・拡充事業は▽ふるさと納税事業(7億4765万円)▽地域おこし協力隊活用推進事業(1億5610万円)▽大船渡中統合改修事業(9500万円)──など。
 さらに、第1子の満3歳未満児保育料を、市の独自支援として無償化する財源約3500万円も盛り込んだ。本年度の保育料は、第2子以降の児童は無料。第1子のうち、生活保護世帯や市町村民税非課税以外の世帯は、所得に応じて月額1万4600円~3万9600円となっており、約120人が該当する。
 7年度からは年齢、人数、保護者の所得にかかわらず無償化とし、市当局は無償化に合わせた条例改正案も提出する。4年の市長選で公約に掲げた渕上清市長は「可処分所得が増え、安心して仕事ができることで企業側の支援にもつながる。市民の協力を得ながら選択と集中を繰り返し、そういった積み上げによって事業費が捻出された結果。子どもを育み、次代への活力をつくる思いで予算編成した」と話す。
 また、ふるさと納税基金特別枠事業では、9事業に計4000万円の基金を充当。地元食材を使用した給食メニューの提供や、日本遺産追加認定への取り組み、地域ブランディング・デジタルマーケティングの戦略立案などを進める。
 一方、廃止・縮小事業は86事業で計10億3600万円。6年度まで実施してきた千葉ロッテマリーンズ冠協賛試合は終了し、市が独自に設置していた市結婚相談・支援センターは廃止する。
 一般会計は、東日本大震災前に計上した平成23年度が約187億円。復旧・復興事業で25年度には960億円に達した。28年度から前年度比減が続き、令和6年度当初予算は震災後最少となっていた。
 昨年11月に公表した7年度予算編成方針では、中長期的に厳しい財政運営が予想される中、歳出では継続事業について現年度当初比で「一般財源1%削減を原則」と明記している。保育料無償化の財源確保について、市財政課では「廃止事業分に加えて、ふるさと納税が伸びて他事業の一般財源を置き換えることができた」と説明する。
 特別会計のうち、魚市場事業は3億2840万円、介護保険介護サービス事業勘定1572万円、同保険事業勘定43億9467万円、後期高齢者医療5億8316万円、国民健康保険事業勘定38億9148万円、同診療施設勘定2億4627万円。
 6年度に簡易水道事業と統合した水道事業会計のうち、水道事業収益は10億7796万円で、支出の事業費用は11億603万円(いずれも税込み)。資本的収支の収入は7億312万円で、支出は14億8319万円。
 下水道事業会計の事業収益は11億3999万円で、支出となる水道事業費用は11億7851万円。資本的収支は、収入が11億4137万円で、支出が14億5242万円。