焼損面積は220㌶以上 綾里の林野火災 田浜の62世帯157人に避難指示 延焼に住民の不安募る 鎮圧の見込み立たず(別写真あり)

▲ 上空から散水を行う自衛隊ヘリ(21日午前11時32分撮影)

 大船渡市三陸町綾里の田浜下地内で発生した林野火災は、発生から3日目となった21日も大規模な消火活動が展開された。沿岸南部は乾燥注意報が連日発表されており、現場は東側の広範囲に延焼。市は20日夜に避難所を開設し、田浜地域の62世帯157人へ避難指示を発令した。発生から220㌶以上を焼き、火勢は弱まりつつあるとみられるが鎮圧の見込みは立っておらず、住民は不安を募らせる。けが人や住家の被害は確認されていない。22日も早朝から消火活動が行われる予定。(齊藤 拓)

 

21日午前7時現在、市災害対策本部などへの取材を基に作成

 火災は19日午前11時55分ごろ、田浜漁港から南へ約1㌔離れた地点で発生。延焼拡大し、市が同日午後5時に災害警戒本部を災害対策本部に移行したことから、同時に県も災害特別警戒本部を設置した。
 大船渡地区消防組合、大船渡警察署、消防団の全分団が出動し、消火作業と警戒にあたった。19日は、車両50台と317人体制で地上から消火。また、県などの防災ヘリ3機が空中から、47回2万7550㍑の散水消火を実施したが、同日は鎮圧に至らず、午後6時35分に県から陸上自衛隊岩手駐屯地へ災害派遣要請が実施された。
 20日は車両50台と309人体制で地上から消火を再開した。また、県などの防災ヘリ3機と、陸上自衛隊の中型・大型ヘリ4機の計7機がそれぞれ空中から消火を実施。鷹生ダムで取水するなどして、合わせて184回11万4550㍑の散水を行った。
 午後5時10分には、市が綾姫ホールに避難所を開設。9時15分には田浜地域の住民に避難指示を発令し、この日は最大で18世帯34人が同ホールに身を寄せた。
 消防組合の消火作業は21日午前0時25分まで行われ、その後も市消防団が継続して現場の警戒にあたった。
 21日の消火活動は、午前5時30分ごろから再開。県内相互応援隊として、奥州金ケ崎行政事務組合、釜石大槌地区行政事務組合、陸前高田市も活動に加わり、車両57台317人体制となった。
 空中からは、県や自衛隊のヘリ8機が消火を行った。同日は市の判断のもと、ヘリが現場付近の海域から海水をくんで上空から散水する消火を実施。木が枯れるおそれはあるものの、一刻も早い鎮圧を優先する措置が取られた。午後3時の時点で、187回19万6300㍑の散水が行われた。
 綾姫ホールには、21日も田浜地域の住民が避難。避難所開設の防災無線を聞き、20日午後6時ごろから自主避難した女性は「夕べは空が真っ赤で、自宅のすぐ上の方で燃えているように見えた。とんでもないことが起こったが、今は収まるのを待つしかない」と話し、事態を見守った。
 同ホール付近の住民は「現場は断崖が多く、消火が難しい場所。松くい虫の被害などで立ち枯れの状態になった木も多く、燃えやすいはず」と話していた。
 21日午後3時時点では、田浜地域の集落に最も近い場所の火災は小康とみられたが、現場東側では依然として多量の白煙が上がっており、予断を許さない状況にある。
 同6時30分現在で陸上からの消火活動が続けられているが、鎮圧の見込みは立っていない。焼失面積は、同日午前7時現在で少なくとも225㌶とみられ、現在も調査中。
 22日も早朝から消火活動を再開する予定。