焼失面積は約320㌶に 綾里の林野火災 懸命の消火活動続く
令和7年2月23日付 1面
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大船渡市三陸町綾里の田浜下地内で発生した林野火災は、発生から4日目の22日も引き続き消火作業が行われた。県内外から応援が駆けつけ、地上と上空からの活動を展開したが鎮圧には至らず、東方向へ延焼した。焼失面積は21日午後8時現在で少なくとも318㌶で、22日現在も調査中。田浜地域への避難指示は続いている。けが人や住家の被害は確認されていない。
21日は車両51台292人体制
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東方面へ延焼拡大し、野野前漁港からも白煙を確認できた(22日午前10時3分撮影)
に、県内相互応援隊の6隊25人を加え、地上からの消火活動を実施。空中からは、県や陸上自衛隊のヘリ8機が、279回41万3500㍑の散水を行った。地上での消火活動は22日午前1時まで続けられ、その後も消防団が警戒にあたった。
22日は午前4時45分ごろから、大船渡地区消防組合、大船渡警察署、市消防団合わせて車両30台
152人体制で、地上からの消火活動を再開。県内相互応援隊として、奥州金ケ崎と釜石大槌地区の両行政事務組合、陸前高田市、花巻市から9隊29人も加わり、集落に近い場所で消火を行った。
空中からはヘリ6機で、同6時9分ごろから消火を開始。県と自衛隊のほか、仙台市、山形県、東京都から防災ヘリが駆けつけ、立石山山頂北西側を中心に活動。午後3時現在で、146回37万4000㍑を散水した。
このうち、山形県と東京都の防災ヘリの拠点となった赤崎町のフレアイランド尾崎岬では、県内相互応援隊の12人が活動にあたり、県防災航空隊が拠点とする旧綾里中学校との間をヘリが行き来した。
応援隊として派遣された釜石消防署の菊池貴之警防係長は「釜石でも平成29年に大規模な林野火災が発生した。大船渡は釜石と地形が似ているので、釜石と同様にヘリでの空中消火が有効となる。火の勢いが弱まったら、地上での大がかりな残火処理に移っていくだろう」と話した。
同日の田浜地域は、21日までと比較し白煙の量は減少した。一方で野々前地域方面への延焼が進んでいるとみられ、市災害対策本部では同地域への影響も警戒し、田浜、野々前両地域への延焼を防ぐ消火が行われた。野々前地域には68世帯164人が暮らす。午後5時30分現在、鎮圧には至らず、消火作業は続いている。
田浜地域の住民に対し20日夜に発令された避難指示は、22日午後5時30分現在、解除されていない。
また、この火災の影響で、現場付近にある気象庁大気環境観測所は、21日午前10時から二酸化炭素とメタンの観測を休止している。
23日も早朝から消火活動を行う予定。