きょうにも鎮圧確認へ 綾里の林野火災 火勢弱まり白煙治まる
令和7年2月25日付 1面


田浜地域の集落近くで上がる白煙(23日午前7時18分撮影)
大船渡市三陸町綾里田浜下の林野火災は、発生から6日目の24日も引き続き消火活動が行われた。火の勢いが弱まったことから、市は自衛隊の撤収を県に要請し、25日から鎮圧に向け地上からの確認を行うこととした。一時は集落近くまで火が迫ったが、懸命の消火活動で持ちこたえており、24日午後3時35分現在、けが人や住家被害は確認されていない。
22日夜には、田浜地域の数カ所で火の勢いが強まった。海岸近くにある民家のすぐそばまで火が迫り、電線にも延焼のおそれがあったことから緊急停電も実施。午後10時21分ごろからは市消防団の全分団が出動して消火活動が行われ、住宅地への延焼は食い止められた。
23日は地上からの消火活動を、車両48台335人体制と県内相互応援隊の11隊32人が行い、午後7時まで続けられた。空中からは、県や陸上自衛隊のヘリ11機が、404回69万2100㍑の散水を実施。田浜地区へ通じる水門では、住民と消防関係者以外の通行止めが敷かれた。
同日、渕上清市長は「(20、22日夜間は)大船渡消防署、市消防団による懸命な消火活動により住宅地への延焼を食い止め、最悪の事態を免れることができた。延焼範囲が拡大している状況を一刻も早く解消し、住民の安心安全を確保するため、関係機関と協力し消火活動を継続する」とコメントを発表した。
24日は午前5時30分ごろから消火を再開した。地上では、市が車両20台128人体制で活動。県内相互応援隊として、県内の自治体、行政組合、消防組合など8組織から13隊39人が加わった。空中では県などの防災ヘリと、陸上、航空両自衛隊のヘリ合わせて9機が活動。午後3時35分現在で111回31万4200㍑の散水を実施した。
同日は、正午すぎの段階で煙が目視できない状況となったため、午後1時すぎには防災ヘリによる偵察や自衛隊の活動を終了。
空中消火の必要性がなくなったことから、県は同3時35分に、自衛隊の撤収を要請。災害特別警戒本部を廃止し、24時間危機管理体制に移行した。
24日の消火活動は午後6時現在、続いている。焼失面積は、午後3時35分現在で少なくとも324㌶。市によると、停電は同日も続き、避難指示が解除されるまで継続する見通しという。25日は、鎮圧に向けて地上からの確認が行われる予定。

成仁会など市内の業者や個人が避難住民を物心両面で支援
綾姫Hの避難者へ食料品の支援も
大船渡市の社会福祉法人・成仁会(山崎和彦理事長)は24日、避難所となっている綾姫ホールへ避難している田浜地域の住民らへ、カップみそ汁250食分を寄贈した。心の休まらない避難生活が続く住民へ、各地から物心両面の支援が集まっている。
市は20日夜から、同地域の62世帯157人に対し避難指示を発令しており、同ホールには最大で25世帯43人が避難した。
同日は山崎理事長が同ホールを訪問し、カップみそ汁を提供。この日の正午ごろは20人余りの住民が避難しており、カップみそ汁はその日の昼食から避難者へ提供された。
約3日間同ホールへ避難した橋本憲実さん(81)は「この避難中に、何回も食料品の支援をいただいている。けさは炎が見えなかったので、近いうちに鎮圧になればいいが」と話した。
避難所には、同会のほか、市内住民組織や個人、マイヤ赤崎店から、食料品や見舞金など避難者に対する支援があった。同町越喜来の入浴施設・夏虫のお湯っこは23日から、綾里の宿泊施設・廣洋館は24日からそれぞれ、無料の入浴支援を開始。保健師による避難者への健康相談も行われた。