一般会計は171億円 市が7年度当初予算案を発表 現年度当初比1・3%増 

 陸前高田市は25日、令和7年度の各種会計当初予算案を発表した。一般会計は171億6500万円。現年度当初比2億1500万円(1・3%)増と、人件費や公債費などが膨らんだ影響で、2年連続の増加となった。新規事業は24件計10億2631万円で、脱炭素先行地域づくり推進補助金6億6382万円、矢作地区コミュニティセンター新築工事設計業務を含むコミュニティ施設整備事業費1億2206万円などを盛り込む。予算案は26日開会の市議会定例会に提出される。(高橋 信)

 

脱炭素化の事業展開へ

 

 歳入の自主財源は60億119万円(構成費35・0%)、依存財源は111億6381万円(同65・0%)。自主財源の構成比は、現年度当初比2・9ポイント減となった。
 自主財源のうち、市税は同1・1%増の18億8891万円。依存財源のうち、地方交付税は同0・3%増の53億4067万円で、市債は同6・0%増の12億円となる。
 財政調整基金は約10億8000万円を取り崩し、7年度末残高は約48億5000万円を見込む。同基金の取り崩し額は、現年度当初よりも約2億8000万円増額。
 市債残高は現年度末比2717万円減の121億4353万円。市民1人当たりの借金は71万円となる見通し。
 歳出を目的別にみると、多い順に総務費47億1292万円(現年度当初比10・5%増)、民生費37億1113万円(同0・5%増)、土木費22億2152万円(同2・9%減)、教育費15億9260万円(同20・0%減)など。
 性質別では、義務的経費が56億9819万円(同5・6%増)で、内訳は人件費25億9499万円(同8・0%増)、扶助費17億8929万円(同0・1%増)、公債費13億1391万円(同9・1%増)。投資的経費は同4・5%増の23億5170万円となる。
 新規事業のうち、脱炭素先行地域づくり推進補助金6億6382万円は、環境省の同先行地域に市が選定されたことを受けて計上。先行地域事業計画の共同提案者である民間事業者に対し、メタン発酵バイオガス発電設備や、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)、地域マイクログリッドなどの整備費を補助することとしている。
 二又地区の矢作地区コミセンは現在、解体中の旧矢作小校舎跡地に移転新築される計画で、設計業務費は約3600万円を見込む。同校跡地には、コミセンのほか、市国保二又診療所、市消防団矢作分団1部屯所の計3施設を移転集約する方針で、8年度以降、段階的に整備する計画となっている。
 市は人工知能(AI)を活用し、効率的な配車と最適なルート選択を可能にする乗り合い型の交通サービス「AIオンデマンド交通」の導入を検討しており、7年度新規事業には同サービスの実証実験関連費2134万円を計上している。実験は同年度秋以降、既存の循環バス「たかたコミュニティバス西部線」沿線などの高田町、気仙町、竹駒町、矢作町内の一部地域で実施する計画で、8年度の実装を目指す。
 一般会計当初予算は、震災前の平成22年度が約113億円、23年度が約108億円。24年度は復旧・復興事業関連で約660億円に膨らみ、25年度は約1019億円。26年度に約1293億円とピークに達した。
 27年度は約1195億円で、28年度~令和元年度は600~800億円台で推移。それ以降毎年減額が続き、ハード復旧にほぼめどがついた令和3年度は183億円と前年度当初比72・6%の大幅減となった。6年度は6年ぶりに増額に転じ、7年度は義務的経費の増や脱炭素先行地域関連費の計上などのため2年連続の増加となった。
 7年度当初の歳入、歳出の内訳は別掲の通り。