産業振興や人材育成へ決意 市長が施政方針演述 市議会定例会開会 林野火災受け短縮して説明
令和7年2月27日付 2面

陸前高田市議会定例会は26日に開会し、佐々木拓市長が施政方針演述を行った。25日に発生した林野火災への対応を優先するため、内容を大幅に省略して所信を表明。東日本大震災からの復興と、復興の先を見据えた産業振興、人材育成などを進める決意を示した。本会議は予定より短縮して散会となった。
佐々木市長は冒頭、林野火災に触れ、「一刻も早い鎮圧に向け、関係機関と連携しながら万全の対応をする」と強調。隣接する大船渡市末崎町にも延焼が拡大していることに言及し、「先日の大船渡市(三陸町綾里)の山林火災で7日間にわたり大変な活動をされた直後である中、極めて迅速な対応をしていただいている。関係者、大船渡市民にお詫びと感謝を申し上げる」と述べた。
そのうえで、26日午前10時時点で災害警戒本部を設置中であり、火災現場の周辺地域に避難指示を発令している状況を鑑み、施政方針演述における詳細の説明を省いた。通常1時間程度の時間を要するが、5分程度に縮めて終えた。
施政方針演述の資料によると、農林水産業の振興に関しては民間企業・団体と連携し、中長期的な視点からの取り組みを進めていく。
このうち、農業分野では再生可能エネルギーを活用した果樹生産、ピーカンナッツ関連の取り組みを進めるほか、新たに市の花・ツバキにより「日本農業遺産」の地域としての認定を目指す。
人口減、少子化が進行する中、「非常に重要なのは医療、教育。市における医療体制を維持するため、気仙地区の県立高校に医学部進学を目的とする新たなコースを設置できないか検討しており、今後近隣自治体の首長とも連携しながら県に対して要望や働きかけを行う」としている。
続いて山田市雄教育長による教育行政方針演述が行われ、佐々木市長と同様、概要のみを説明した。
当局は今定例会に議案26件を提出。26日は人事案2件、工事の変更請負契約締結2件の計4件を同意、可決した。
残る22件は予算等特別委(議長を除く全議員で構成)に審査を付託した。
人事案は、新たな人権擁護委員に、岩崎利行氏(63)=竹駒町、菅野美保子氏(61)=気仙町=を推薦することに同意した。任期は7月から令和10年6月までの3年間。
受理した請願「安全・安心の医療・介護実現のための関係職員の人員増、および労働条件の改善等について」は、教育民生常任委に審査を付託した。
散会後、市消防本部の菅野泰浩消防長が議場で小友町で発生した林野火災の対応状況を説明。予定していた全員協議会は3月3日(月)に延期された。