各地から消防隊が集結 大船渡町の大規模火災で 陸前高田と住田も宿営地に
令和7年3月2日付 7面

大船渡市赤崎町合足で発生した大規模火災を受け、全国各地から緊急消防援助隊が応援に駆けつけて消火活動に当たっている。気仙では陸前高田市、住田町の公共施設3カ所が宿営拠点として開放され、合わせて1000人近い隊員を受け入れ。平成以降、国内最大規模となった火災の現場では昼夜を問わず隊員が必死に奮闘し、宿営地では後方支援部隊がその活動を支えている。(高橋信、清水辰彦)
陸前高田市高田町の夢アリーナたかたは広域防災拠点として運用。火災発生日の2月26日から27日にかけて、宮城、山形、秋田、青森各県の緊急消防援助隊約520人が集結した。
陸前高田エリアは、県が策定した計画で、広域防災拠点に位置づけられている。高田町の市消防防災センター、夢アリーナたかたの2施設が、緊急時の後方支援拠点となっている。
夢アリーナたかた駐車場には、ポンプ車や支援車、燃料補給車など機能別の車両がずらりと並ぶ。玄関前の屋外には食事や休憩などのための椅子やテーブルが置かれ、施設内の多目的ホール、アリーナには仮眠用の簡易ベッドや寝袋が配置されている。
後方支援を担う小隊を指揮する宮城県の50代隊員は「消火活動に当たった隊員から現場の映像を見せてもらい、1月に起きたロサンゼルス山火事のような事態となっている。建物に加え、人身被害も出ており、心配に思う市民は多いと思う」と深刻な表情で語る。
同隊員は「到着後、懸命な消火活動が休む間もなく展開されており、隊員の疲弊も懸念される。少しでも隊員が休息できるよう後方支援に専念する」と気を引き締める。
青森県の30代隊員は「このような規模の山林火災は見たことがない。一日も早く鎮圧、鎮火するよう自分の仕事に全力を尽くす」と力を込める。
夢アリーナたかたや、消防ヘリなどのヘリポートとしている高田松原運動公園を含む市内運動施設は当面の間、休館・休園している。

火災現場での活動から戻る消防車両=住田
一方、住田町は2月27日深夜、県からの緊急消防隊受け入れ要請により、世田米の社会体育館、下有住の生涯スポーツセンターを開放。28日午前11時30分頃から続々と隊員が到着し、午後6時ごろまでに、群馬、埼玉、東京、千葉からおよそ400人が集まった。
両施設では、隊員が活動に備えて仮眠を取ったり、到着後すぐに火災現場へ向かった隊員の帰りを待ちながら食事の準備をするなど、各隊が迅速、的確に行動した。
埼玉県のさいたま市消防局の長沼史朗消防司令(51)は、後方支援として食事などをサポート。「隊員たちがしっかりと活動できるよう、施設ではしっかりスペースを確保して、多くの隊員がいる中で、火災現場から戻ってくる時間を逆算してなるべく出来たての食事を食べられるよう心がけている。後方支援に万全を尽くし、活動を支える」と心構えを語る。
千葉県隊の大隊長を務める千葉市消防局中央消防署の石橋伸広消防司令長(56)は、阪神・淡路大震災、伊豆大島土砂災害などの現場に出動した経験を持つ。28日は午後10時まで、綾里の大明神、大久保、宮野地内で消火活動に当たった。「火が山の方から降りてきており、残念ながら住家も被害を受けている。水を積める車両に海水をため、ピストン輸送しながら放水に当たった。いち早く目的を達成できるよう、一致団結してやっていく」と力強い言葉を発した。