災害下でも入試へ一丸 臨時休校続く東朋中 3年生対象に学習会(別写真あり)

▲ 臨時休校が続く東朋中が高校入試を控えた3年生への学習会を実施=盛町・カメリアホール(3日)

 大規模林野火災の影響で臨時休校となっている大船渡市赤崎町の東朋中学校(村松正博校長、生徒104人)は2日から3日間、高校入試を控える3年生を対象とした学習会を開いている。中学校生活の集大成となる大一番を前に、避難生活を余儀なくされている生徒らのため、同校教職員や市教育委員会が連携して、生徒が集中して勉強できる環境構築に尽力。3日は入試の事前指導も行われ、受験票を受け取った生徒らが「大変な状況でも自分のやるべきことを」と、3年間をともに過ごした仲間と一丸で試験に挑む覚悟を見せている。(菅野弘大)

 

 主に赤崎町と三陸町綾里の生徒が通う同校。先月26日に赤崎町合足地内で出火し、現在も延焼している林野火災の影響により、同27日から休校が続いている。全校生徒の約9割が避難指示対象にあたり、避難所や親戚宅などに身を寄せている生徒も多いことから、教職員らは情報共有ツールを活用して保護者と連絡を取り、生徒の様子や避難場所の確認を都度行っている。
 学習会は2日から開催し、同日は立根町のY・Sセンターで約5時間勉強。3日は盛町のカメリアホールに3年生31人が集まり、午前中の3時間を使って勉強のほか、受験票配付と試験時程、持ち物、心構えの確認を行い、間近に迫った入試に備えた。
 生徒らは、教職員が用意した教科書や学習プリント、タブレット端末などを活用しながら集中。避難生活のために会えなかった友達との再会も喜び、勉強の合間には普段の学校生活と変わらない笑顔が広がった。学習会は4日も行われる。
 赤崎町蛸ノ浦から日頃市町の祖父母宅に避難している東彩姫さんは「避難生活に不安もあったけど、クラスのみんなに会えて、元気そうで安心した。受験の時期に大きな火事が起き、家も無事か分からないけど、頑張ってきた成果を出し切りたい」、同町長崎から市外に避難している磯谷あかりさんは「住むまちが被害に遭っていても、明るく振る舞ってくれて、元気が出た。受験に不安もあるけど、これまでの努力を発揮したい」とそれぞれ話した。
 生徒らの様子を見守った村松校長は「友達と直接会って楽しそうにする生徒の顔を見て、私たち教職員も安心した。こうした状況だが、みんなで協力して前に進んでいこう」と鼓舞した。
 県教委は5(水)、6(木)の両日に行う県立高校入試に関し、市内の生徒が今回の火災を理由として、11(火)、12(水)の両日に実施する追検査を希望する場合は受検可能としている。合格発表は14日(金)。
 市教委でも、学習会に合わせて避難所を回る生徒の送迎用スクールバスを臨時運行。上履きを学校に置いたまま避難した生徒のために、学校用のスリッパも届けられた。生徒の保護者のつながりから、昼食は市内の弁当店が温かい弁当を提供するなど、生徒の目標達成を後押しするさまざまな支援が展開されている。
 東朋中のほか、赤崎、綾里両小も臨時休校が続いている。市教委では、スクールカウンセラーや指導主事が避難所を巡回して児童、生徒の様子を確認している。綾里小の教職員は、避難所の越喜来小、三陸公民館で生活する児童に対する学習支援を展開し、タブレット端末を活用したAIドリルでの自主学習も進めている。