焼失面積2100㌶に 赤崎・綾里大火 外口でも建物被害確認 鎮圧、避難解除の見通し立たず 天気予報 あすから雪、雨か(赤崎町合足地域における新潟県隊の活動映像あり)

▲ 外口地域方面で激しく炎が上がる様子を見つめる住民=3日午前5時32分、末崎町・赤土倉漁港から撮影

 大船渡市赤崎町合足地内で出火し、三陸町綾里の広範囲に及ぶ大規模火災は、発生6日目の3日も延焼範囲が拡大した。焼失面積は2100㌶に達し、綾里地区北部から越喜来にも広がったほか、赤崎町でも激しい炎が上がり、外口地域では建物被害が確認された。鎮圧や避難解除の見通しは依然として立っていない。日々増強が続く自衛隊や県内外の緊急消防援助隊による懸命の消火活動に加え、5日から予想されるまとまった雪や雨による延焼拡大抑止も望まれる。(2、3、7面に関連記事)

 

 焼失面積は1日時点では約1400㌶だったのが、2日は約1800㌶に、3日は2100㌶に拡大。綾里地区北側から延焼が広がり、1日夜~2日朝にかけては、尾根を越えて越喜来地区にも及んだ。赤崎町の清水、蛸ノ浦地域方面でも延焼が確認されている。
 さらに、同日午後以降は、三陸町綾里の小石浜方面から砂子浜方向に延焼が拡大。赤崎町では南側の長崎方面に火の手が伸び、3日午前4時ごろから景色は一変。激しく炎が上がった。
 長崎地域を遠景できる末崎町の赤土倉漁港には、避難指示が続く同地域の住民を含む市民ら約10人の姿があった。同地域在住の70代男性は「こんなことになるとは。集落そばの街灯が残っているように見えるが、自宅はどうなっているのだろうか。現地で見たいが、そうはいかず、お手上げだ」と対岸を見つめていた。
 この男性はワカメ販売を手掛けているといい、「所有する冷蔵施設に電気が通らなくなれば、保存していたワカメがすべてパー。先行きは全く見えない」と途方にくれていた。
 また、大船渡湾内でも、大船渡町側からは赤崎町内の5カ所以上で燃えている状況が確認できた。合足地域や綾里地区でも、建物への延焼が懸念されるという。三陸町越喜来の崎浜地区から綾里小石浜方向を眺めると、煙に包まれる中で広範囲に炎が広がっている光景が見えた。
 3日の段階では、三陸町綾里の小石浜や砂子浜の集落南側付近の尾根部分まで延焼が広がったとみられる。越喜来の甫嶺側も拡大しているが、建物への延焼は確認されていない。
 自衛隊機は長崎・外口地域の集落部で、集中的に空中から散水。これまでの空中活動は山林が中心だったが、延焼防止を最優先した。赤崎町では大立地域付近でも延焼が見られ、主要地方道大船渡綾里三陸線を防御線として地上隊が張り付いている。
 延焼が拡大する中、自衛隊や緊急消防援助隊、県内応援隊などの各組織で増強が続く。自衛隊による大型ヘリは2日までの6機体制から、3日は8機に増強。緊急消防援助隊は青森、秋田、宮城、山形、福島、茨城、栃木、新潟、群馬、埼玉、千葉、神奈川の各県と北海道、東京都から1000人超が詰め、夜通しの作業に当たる。
 綾里地区では1日夜から電力保安停止域が広がり、一部を除く約1150軒で停電。3日午前6時からは陸前赤崎駅から蛸ノ浦までの約400軒も保安のため送電が停止された。
 避難対象は三陸町綾里の全域、赤崎町の合足、大立、永浜、清水、長崎、外口、蛸ノ浦、宿、後ノ入、森っこ、大洞、生形、山口の各地域、三陸町越喜来は甫嶺東、甫嶺西、上甫嶺の各地域で、計1896世帯4596人。地域を限った部分的な対応を含め、解除の見通しは立っていない。
 地域内の主要地方道は通行止め措置が続く。産業にも影響が及び、赤崎町の太平洋セメント大船渡工場では、中赤崎地域への避難指示拡大に伴いセメント生産を休止している。多業種で打撃が予想される中、市は「相当な影響が出ることが見込まれる」としている。
 避難所は福祉避難所を含む12カ所に設けられ、3日午後6時15分現在で1213人=別掲表参照。定員を超える施設も出ており、市は2日に100人程度収容できる旧吉浜中を追加し、さらに市内複数施設での検討を進めている。
 親戚宅等への避難者は、3日午前11時現在で2569人を把握。市は、避難対象住民の安否情報について市地域福祉課(℡27・3111)に寄せるよう求めている。
 大船渡市では乾燥注意報が先月18日から続き、まとまった降雨、降雪がない。天気予報は、きょう4日が晴れや曇りが続く見通しだが、低気圧の通過により、あす5日にようやく「雪や雨」となる見込み。昨年5月に越喜来で発生した山林火災でも降雨下で鎮圧・自然消火が進んだことから、天候に注目が集まる。

 

 

赤崎町合足地域における新潟県隊の活動映像(3日午前)=総務省消防庁提供

赤崎町合足地域における新潟県隊の活動映像(3日午後)=総務省消防庁提供

赤崎町合足地域における新潟県隊の活動映像(3日午後)=総務省消防庁提供