市内に「子どもの居場所」 大規模火災の発生受け カタリバと気仙のNPO 避難所や公共施設に開設
令和7年3月7日付 7面

大船渡市の大規模火災を受け、東京都の認定NPO法人カタリバ(今村久美代表理事)は気仙両市のNPO法人2団体と連携し、同市内の避難所と公共施設の2カ所に子どものための居場所を開設している。このうち、大船渡町のおおふなぽーとには「みんなのあそびば」が設けられ、避難生活を送る親子らが利用。子どもが遊び、保護者らが一息つける環境を提供している。また、保護者向けにLINE(ライン)による相談窓口も用意しており、「災害で不安やストレスを抱える親子を支えたい」としている。 (三浦佳恵)
カタリバは平成13年から活動し、東日本大震災後は大槌町で子どものための居場所運営や教育支援を展開。全国の災害被災地で支援活動に取り組んでいる。
大船渡市の大規模火災では、カタリバのスタッフが市内を調査し、子育て世帯のニーズを把握。同市のNPO法人おはなしころりん(江刺由紀子理事長)、陸前高田市のNPO法人SET(三井俊介理事長)と連携し、慣れない避難生活を送る子ども、災害や日頃の子育てで不安などを抱える親子の居場所を設けることとした。
今月3日には、三陸町越喜来の避難所・三陸公民館内に「みんなのこども部屋」を開設。運営はSETが担い、9日(日)までの予定で、日中の午後に避難所で生活する子どもたち(4~18歳)が遊んだりできる空間を提供している。
おおふなぽーとでは4日、未就学児を対象にした「みんなのあそびば」がスタート。おはなしころりんとSETが運営に当たるほか、保育士資格を持つ三陸町越喜来の中野亜紗実さん(38)が協力している。
6日には第2回が開かれ、同町綾里の米沢つばささん(32)と長男の伊織ちゃん(6カ月)、盛町の門間春香さん(38)と長女の才佳ちゃん(8カ月)が利用。いずれも2度目の訪問で、中野さんとSETのスタッフに子どもたちをみてもらいながら和やかな時間を過ごし、子育ての情報交換なども図った。
赤崎町内で避難生活を送る米沢さんは、「いまのところ息子に大きな変化はないが、退屈している様子。こうした場は来やすく、いいリフレッシュになり、息子にもいい刺激になる」と、門間さんは「基本的には家で子どもと二人きり。子どもをみてもらえる間、息をつけるのがいい」と話し、開設の継続を期待する。
中野さんは「普段でも子育てが大変なうえに、火災でさらにストレスや不安を抱えている母親も多い。まずはお母さんたちを元気にして帰ってもらえるようにしたい」と、母親たちを気にかける。
カタリバでは保護者向けに「LINE相談窓口」を設け、避難生活中の子育ての悩みや暮らしの再建に向けた相談に対応。「災害時こそだてサポート」(https://lin.ee/hZjOSJO)から登録できる。
カタリバ広報部の阿部愛里さん(29)は「子どもの日常を早く取り戻すことが心のケアにつながり、子どもと離れる時間があると親のケアにもなる。地元で支援する方々をサポートしながら取り組みたい」と話す。
「みんなのあそびば」は9、14(金)、16(日)、24(月)、27(木)の各日午前9時30分~午後0時30分に同じ会場で開かれる。