震災の記憶をつなごう 大船渡の火災 鎮火も祈り 高田東中でキャンドルリレー(別写真あり)

▲ 学校前に並べたキャンドルホルダーを見つめる生徒ら

 陸前高田市立高田東中学校(千葉賢一校長、生徒166人)は6日、東日本大震災の記憶を伝承する「キャンドルリレー」を行った。大船渡市の大規模火災発生を受け、早期の鎮火も祈念。生徒らが制作したキャンドルホルダーを学校前の歩道に並べ、「過去のできごとや託された思いを次世代に伝えていこう」と気持ちを一つにした。
 キャンドルホルダーは、LEDライトを入れるガラス瓶に、自由に絵や文字を描いたもの。同市のつむぐ実行委員会(松村幸祈委員長)がガラス瓶を提供しており、震災発災日の3月11日に毎年開く催し「つむぐイルミネーション」で、各地から寄せられた作品を会場に並べ点灯する。
 同校では、平成31年に当時の1年生がキャンドルホルダー作りに参加。新型コロナウイルスが流行した令和2年は、1、2年生が制作したホルダーを教員の発案で学校前の歩道に並べた。翌3年からは、全校で取り組む「キャンドルリレー」に発展し、生徒会主体の「キズナプロジェクト」による恒例行事となり、現在に至っている。
 今年のテーマは「地域の方とともに歩んだ13年間 過去を思い、現在に生きるメッセージ、未来への宣言」。
 当初は先月26、27の両日に実施する予定だったが、学区内で林野火災が発生した影響で延期。今回の日程となり、大船渡市で赤崎・綾里大火の消火活動が長期化している状況を受け、早期鎮火を願おうと、キャンドルを点灯せずに実施することにした。
 この日は、校内で開始式を開き、生徒会執行部が今年の取り組み趣旨を説明したうえ、同市の箱根振興会の佐々木善仁会長(74)が、小友町の気仙大工左官伝承館敷地内に震災後に建てられたガス灯モニュメント「3・11希望の灯り」の関係者の思いや、大船渡の火災に伴い現在消灯していることなどを伝えた。
 全員で輪を作り、キャンドルホルダーを眺めながら14年前の震災へ思いをはせた生徒らは、それぞれ制作したホルダーを持って外へ移動し、歩道に並べた。ホルダーには「絆」「東中」といった文字や、美しい花や星、ステンドグラスのようなカラフルな模様などが描かれ、通行人に笑顔を届けた。
 戸羽将誠生徒会長(2年)は「自分が生まれた数カ月後に震災が発生した。経験を語ることはできないけど、経験した方々の話を次の世代につないでいくことはできる。記憶を風化させない取り組みとして、これからもこのキャンドルリレーは続けていきたい」と話していた。
 キャンドルホルダーは、7日も同様に展示する。時間は午後4時30分~5時30分。