火災に乗じた犯罪許さぬ 県警本部 警察と地元住民が連携 中赤崎地域のパトロールなど
令和7年3月9日付 7面

県警察本部(増田武志本部長)は、大船渡市で発生した林野火災に乗じた事犯への警戒を強めている。火災現場へ通じる道路では警察が検問を行っているほか、8日には、避難指示が解除された中赤崎地域の住民と大船渡署が連携して地域内のパトロールを実施。災害に便乗した詐欺などの、気仙の住民を狙う犯罪を許さない構えをとる。
同本部は赤崎・綾里大火の発生に伴い、被災地域を24時間体制で警戒。7日に赤崎町中赤崎地域、8日に三陸町越喜来甫嶺地域の避難指示が解除されたことから、火災に便乗した不審人物の出入りなどに対する警戒を強めている。
赤崎町の県道大船渡綾里三陸線は、消防車両と電気設備業者に加え、避難指示解除により自宅へ戻ってきた住民の車が多く行き交う。一方で、消火活動や復旧活動以外の無用な訪問と侵入が危惧される。
8日現在、警察は県本部と県内各署の応援合わせて約160人体制で警戒活動を展開。主に赤崎町の太平洋セメント大船渡工場付近と、三陸町越喜来の泊漁港付近で検問を行っている。
このほか、被災地域周辺に防犯カメラを設置し、地域の防犯対策に活用していく考え。
大船渡署の髙橋直樹副署長は「管内では今のところ、火災に便乗した事案は認知していないが、避難所には『自宅が人に入られているのでは』と不安がる人もいる。住民にとって不安をあおる人物の排除に向け、自主防犯組織と協力し組織を挙げて対応する」と話す。
8日には、署員と赤崎町防犯協会の会員合わせて6人が、中赤崎地域をパトロール。同署赤崎駐在所を出発し、7日に避難指示が解除された同町6地区の各戸へチラシを配布するなどして、悪質事犯への注意や防犯対策を呼びかけた。
同協会の安田由紀男会長は「被災地にはいろいろな形の犯罪が入ってくると聞いており、注意を呼びかけなくては。避難所から戻りほっとしている人もいると思うが、自分たちの身に犯罪が降りかからないよう、パトロールで住民へ呼びかける」と気を引き締めた。
自宅の防犯と
詐欺に警戒を
大船渡署は、特に発生が懸念される事犯として、不安をあおって災害時に必要な物品の販売や家屋の修繕などを契約させる行為や、被災に関連した詐欺が挙げられるとして、避難所内外で周知を行っている。
このうち、詐欺については、公的機関や災害支援団体をかたって義援金などの名目で金銭や電子マネーをだまし取るケースや、被災者の身内や友人を装って困窮を理由に送金を求めるケースが想定される。
また、同署では、不在の家屋などを狙った盗難が懸念されることから、貴重品の携行や1人での行動を避けるよう勧める。このほか、不審人物や怪しいと感じる事案にあった際は、警察署への通報や、警察相談専用電話(#9110)に相談するよう呼びかけている。