甫嶺でも避難指示解除 赤崎・綾里大火 白煙確認されない状況続く 鎮圧へ地元消防団も加わり活動
令和7年3月9日付 1面

大船渡市赤崎町合足地内で出火し、同町と三陸町綾里の広範囲に延焼した大規模火災は8日、先月26日の発生から11日目を迎えた。市は避難指示区域のうち、今月1日から対象としていた三陸町越喜来甫嶺の3地域で指示を解除した。赤崎町の大船渡湾側や綾里の小石浜、砂子浜地域での解除も検討。焼失エリアでは白煙は確認されておらず、全国から集結した緊急消防援助隊に加え、地元消防団も加わり、人海戦術で熱源確認や残火処理にあたる。(2、3、6、7面に関連記事)
7日の中赤崎地域に続き、8日に解除となったのは、甫嶺東、甫嶺西、上甫嶺の141世帯計333人。午後1時の防災行政無線で解除が告げられると、住民らは荷物をまとめて各避難所を後にした。
西甫嶺の菅原博幸さん(63)は、綾里から避難してきた親戚らを受け入れたが、避難指示拡大に伴い知人宅に身を寄せた。「家に帰ることができてほっとした。これほどの大火になるとは思わず、火の扱いには注意しようと改めて感じた。各地から応援に来てくれた消防の方々に感謝したい」と話した。
依然として、三陸町綾里の全域、赤崎町の合足、大立、永浜、清水、長崎、外口、蛸ノ浦の7地域の計1340世帯3306人を対象に避難指示が続く。各地域とも避難開始から10日以上が経過した。
市は8日の記者会見で、赤崎町の大船渡湾側に位置する大立、永浜、清水、蛸ノ浦の4地域と、三陸町綾里のうち小石浜と砂子浜両地域で解除を検討していることを明らかにした。再燃の恐れがある熱源の状況やインフラの復旧状況などを判断し、早ければきょう9日解除を視野に入れながら判断することにしている。
避難所は12カ所に設けられ、8日午後5時現在で922人=別掲表参照=と、前日から約120人減少。親戚宅など避難所以外での避難者は2103人となっている。
指示区域解消の拡大に伴う利用者の減少を受け、猪川小と大船渡中の両体育館は9日正午で閉鎖する予定。猪川小では8日、撤収作業が行われた。
焼失面積は5日から変わらず2900㌶で、拡大は確認されていない。8日朝の段階では白煙などが確認されず、引き続き再燃の可能性のある熱源の確認を進めている。
東日本の各県などから駆け付けている緊急消防援助隊の地上活動は連日、2000人体制で活動。4方面隊に分け、焼失エリアの拡大が続いた5日までは民家の延焼防止を最重要任務として取り組んできたが、まとまった降雨もあって小康状態とみられる6日からは、木の切り株や根部分も含め、残火や熱源有無確認の地道な活動が続く。空気が乾燥する中、強風による再燃防止の警戒にあたる。
焼失エリアでは300㍍四方(9㌶)を1マスとして区分し、上空、地上の両面で熱画像装置などを使って熱源の有無を調査。急斜面が広がる中でも、土を掘り起こしながら消火や残火処理を展開してきた。
特殊な重機も導入し、木材を積み上げているなど、降雨や散水が入りにくい場所なども警戒。8日は、地理に詳しい地元消防団も活動に入った。
同日、熱源は合足トンネルや合足地域の西側、小石浜~砂子浜の中間地にあたる山中、両地域から南側に位置する殿畑地内の山中、田浜地域から東方向に位置する立石山東側の山中、八ヶ森トンネル付近などで確認。木の切り株や倒木、腐葉土の堆積が厚い場所などで見られるという。
鎮圧の見通しに関し、同本部は「鎮圧に近い状態には見えるが、まだ鎮圧に向けた活動を実施しているところ。熱源がある限りは再燃の可能性はあるが、強くはなっていないと認識している」としている。