生育遅れも「品質はいい」 今季第1回養殖ワカメ入札 高海水温影響で少量スタート

▲ 高海水温の影響が懸念される中、今季もワカメ入札会がスタート

 今季の第1回県下合同養殖ワカメ入札会は13日、大船渡市大船渡町の県漁連南部支所で開かれた。塩蔵ワカメの上場数量は14・8㌧で、前年の2・12㌧からわずかに持ち直したものの、高海水温による生育遅れで依然として低水準が続く。気仙からは広田湾の広田・北浜、同・南浜が上場し、芯抜き1等値は北浜の2万7003円(10㌔)で、昨年の気仙最高値を5%上回った。昨年は減産によって大幅に価格が高騰した中、今後の数量や単価の動きに注目が集まる。
 今季初の入札には、県内外から買い付け業者37社が参加。塩蔵ワカメの上場は陸前高田市の広田湾漁協、宮古市の重茂漁協、田老町漁協のみだった。
 合計数量は、15㌔入りが986ケース、14・8㌧。過去最低水準となった昨年の141ケース、2・12㌧の約7倍となったが、例年と比べ少ない状況が続いている。
 本来は同支所の見付会場いっぱいにワカメの見本品が並ぶが、今年も数量が少なく、やや寂しい印象に。入札参加業者らは、真剣な目つきでワカメの色や品質などを見定め、意見を交わす姿も見られた。
 漁協関係者や買い付け人らによると、今年も海水温の影響で種付けや種まきが後ろ倒しとなり、その結果、生育にも遅れがみられるという。それでも、見本品を手にした関係者からは「品質はいい」といった声が聞かれた。
 昨年は海水温も高く、種付けや種まきが1カ月~1カ月半遅れ、生育に大きな影響を及ぼした。数量は大幅な減少となり、単価は10㌔当たり4万円目前まで高騰した。
 会場を訪れた、国内の加工、販売、流通業者らで構成する三陸ワカメ買受人会の会長を務めるリアス海藻店=釜石市=の平野嘉隆代表取締役(53)は「品質はまずまずで、入札の初回を飾るのにふさわしいのでは。昨年があまりにも悪すぎる状況だったが、今年は2、3月で水温が下がってきている。生産者の高齢化も進んでおり、違う手法で収穫するなど、生産量を増やしていければ」と話していた。
 入札の結果、広田湾(広田・北浜)の芯抜き1等の10㌔価格は2万7003円。昨年を5%(1203円)上回り、同・南浜も2万6999円と同程度の単価となった。全体では、重茂の2万8000円が最も高い値となった。
 次回入札は27日(木)に予定。今季は、5月上旬まで入札日程が組まれる見込み。