罹災証明申請スタート 赤崎・綾里大火受け市役所と綾里出張所で 市が確認済みの被災建物は即日交付

▲ 申請を受け付けている綾里地域振興出張所

 大船渡市は14日、赤崎・綾里大火に伴う罹災証明書等の申請受け付けを始めた。市はすでに外観調査で210棟の被害を確認し、この建物に関しては申請即日に証明書を交付。初日は午後3時までに71人が訪れた。各種支援金や融資、減免申請などに欠かせない書類だけに、被災者からは「これが第一歩」といった声も聞かれた。申請場所は市役所本庁1階の税務課資産税係と綾里地域振興出張所で、閉庁日の15日も午前8時30分~正午に受け付け、17日(月)以降の平日も対応する。(佐藤 壮)

 

罹災証明などに関する申請書類

 綾里地域振興出張所では、午前8時30分の受け付け開始直後から、自宅や倉庫を失った住民らが続々と訪れた。専用の対応スペースを設けたことで、混雑は見られなかった。
 石浜地域の住宅と長屋が焼失し、申請に訪れた40代女性は「すでに市が把握していた建物で、申請書を記入してスムーズに交付された。家族にとっては、再建に向けた第一歩になる」と語った。
 港地域に暮らす70代女性も「思ったよりも早い手続きで助かった。支払いの減免や保険金の申請など、さまざまなことで使うことになると思う」と話した。
 市役所でも続々と地域住民が訪れ、手続きを進めた。終了後は別の窓口にも出向き、各種支払いの減免などについて相談する姿も見られた。
 罹災証明は、災害発生時に市が被害状況を調査し、被害の程度を証明する書面を発行するもの。被害の損害割合に基づき、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部損壊の6段階に分類される。
 証明書は、今後給付される被災者生活再建支援金や義援金のほか、住宅金融支援機構などからの融資や災害援護資金、応急仮設住宅利用、税や保険料、公共料金などの減免・猶予時の申請などで活用が見込まれる。
 市は申請開始に先立ち、外観調査で被害棟数を把握。9日正午の段階で被害建物210棟を確認した。
 このうち、住家被害は102棟で、焼失をはじめとした全壊は76棟、大規模半壊を含む「全壊以外」は26棟。地域別では、綾里の小路、石浜、港、赤崎町の外口で10棟超となっている。住宅以外の建物では、小路で41棟と多く、次いで港16棟、赤崎町の合足と外口と各10棟と続く。
 森正税務課長は「この証明書が、さまざまな支援を受ける際の目安になる。早く交付したい考えから、消火活動に支障が出ない範囲で(鎮圧前の)3月5日ごろから本格的に調査をしてきた」と話す。
 一方、建物内部の確認までは至っていないといい、外壁が残っていたり、路地から見えにくい建物などでは、見落としていたり、内部の被災状況判断がついていないケースも考えられる。片付けや修理の前に被害状況を写真に撮って保存するよう求めている(全焼の場合は不要)。
 調査を終えていない建物の申請に関しては、市で後日、現地調査を実施。被害程度を判断したうえで証明書を交付する。判定内容に不服がある場合は、再調査を行うとしている。
 発行するのは▽居住している住家の被害を受けた人向けの罹災証明書▽居住している住家以外の家屋(建物)で被害があった人向けの「り災(その他)証明書」▽車やプレハブ倉庫など、固定資産課税台帳に登録されていない動産等に被害があった人向けの「り災届出証明書」──となる。
 マイナンバーカードや運転免許証、住民票の写しなど身分証明書を持参。世帯員以外による申請には、世帯員からの委任状が必要となる。対象住家に住民票登録がない場合は、居住実態を確認するため、公共料金請求書など申請者氏名と住所が明記されているものも求められる。
 15日の午前に加え、今後は平日午前8時30分~午後5時15分に(本庁舎の月、金曜日は午後6時30分まで)受け付ける。問い合わせは同課(℡27・3111内線140、155、156)へ。