自校舎での授業再開 大火発生から19日ぶりに 綾里小学校 児童ら元気に登校

▲ 19日ぶりに綾里小に登校する児童ら

 先月26日に発生した赤崎・綾里大火の影響で臨時休校と他校の間借りが続いた大船渡市立綾里小学校(渡辺信子校長、児童69人)は17日、自校舎での授業を19日ぶりに再開した。消防関係者など各方面の尽力で守られた校舎で、児童らは友人と笑顔で机を並べ、全校でそろって年度末を迎える準備を整えた。(齊藤 拓)

 

1日遅れとなる修了式のリハーサルを行う1~5年生

 綾里では先月19日に、田浜地区で林野火災が発生。同校も家族に児童の下校時の迎えを要請したほか、一時は同地区の児童と家族が綾姫ホールに避難するなど、赤崎・綾里大火以前から火災の影響を受けていた。渡辺校長は「毎日のようにサイレンやヘリコプターの音が鳴り響いていた。不安な学校生活だったが、児童がいつもと変わらず過ごせるよう配慮した」と振り返る。
 26日は、午後の授業を控えていたところで、赤崎町合足で火災が発生した。ほどなく同校からも煙が見え、一斉下校の準備を進めるうちにも規模が広がった。いったんは児童を綾姫ホールに避難させたが、同日のうちに綾里全域に避難指示が発令されたため、三陸公民館や越喜来小学校に移動し、職員が各所で取り次ぎや安否確認にあたった。翌日から臨時休校となり、児童らは市内の避難所や親戚宅に身を寄せた。
 休校の間も同校は、児童の学習環境の確保について市教委などと協議。市内他校を会場に児童らの学習時間が設けられたが、希望者のみの対応ということもあり、普段通りの学習環境は失われたままだった。
 今月7日には赤崎町山口地域の避難指示が解除されたことから、同地域の赤崎小学校を間借りして綾里小も授業を再開した。
 綾里小では9日の鎮圧後も、消火にあたる消防隊員が12日まで体育館などを使用。撤収後は学生ボランティアも加わった清掃や、荷物の運び入れが行われた。
 自校舎での授業を再開した17日の朝は、鎮火を後押しする雨が前日から降り続く中、児童らが元気に登校。登校する友人へ窓越しに手を振るなど、校舎での久々の再会を分かち合い、さっそく教室からも明るい声が響いた。
 同校はこの日、年度末に向けた準備のほか、1~5年までの児童が、当初予定から1日遅らせた18日に予定している修了式のリハーサルを行った。
 リハーサルでは、ステージ上で修了証書を受領する代表児童に合わせた礼などの所作や、校歌を練習。児童にとっても慌ただしい日々は続いているが、全校で迎えられる年度の締めくくりに向け、各学年の児童らは背筋を伸ばし、心と声をそろえた。
 また、同日は、休校中に気仙内外から同校宛てに届けられた文房具などの支援物資も、児童らに配布された。
 渡辺校長は「児童らが元気に学校に来てくれたことが一番うれしい。〝今までどおりの学校生活〟を基本に児童の心に寄り添い、保護者とも話をしていけたら。これまでたくさんの方に応援してもらったという感謝を持って過ごせる、温かい学校にしていきたい」と話した。
 同校の卒業式は、修了式と同じく1日遅らせて19日(水)に予定。また、例年4月1日に開いている入学式は、予定通りの挙行に向けて準備を行う。