小学校の卒業式ピーク 矢作は1人の巣立ちに 気仙(別写真あり)
令和7年3月19日付 7面

気仙の小学校で18日、卒業式がピークを迎えた。陸前高田市の矢作小学校(蒲生正光校長、児童23人)の本年度卒業生は、3市町で最少の1人。1年生から複式学級で学んできた小林蒼羅さん(6年)が式に臨み、学年の垣根を越えて親しんだ仲間たちとの思い出を胸に学びやを巣立った。(阿部仁志)
本年度は、気仙の全21小学校から365人が卒業する。18日は、大船渡市7校、陸前高田市4校、住田町2校の計13校で卒業式が行われた。
このうち、矢作小の式には、全校児童と教職員、保護者、来賓らが出席。本年度唯一の卒業生となった小林さんが入場すると、温かな拍手が体育館に響いた。
蒲生校長は、小林さんに卒業証書を授与し、「つらさ、苦しさ、さみしさ、悲しみを知っている人は、前を向き、人に優しくなれる。これからいろいろなことがあると思うが、蒼羅さんならきっと乗り越えられる。中学校で同級生たちと一緒に挑戦し、実りある人生を送ってほしい」と式辞。
山田市雄教育長は告辞で「すべての方々への感謝を忘れず、周囲の人たちとのつながりを大事にしてほしい。中学校では、小学校で育んだ生きる力を大切にし、目標に向かって努力してほしい」と呼びかけた。
「門出のことば」では、複式学級で同じ時間を過ごした5年生4人と一緒に前に出た小林さんが、6年間を振り返りながら「これまでの伝統を引き継ぎ、より良い矢作小にするためにみんなと歩んできた。今まで僕のことを支えてくれてありがとう。皆さんのおかげで、最高の学校生活を送ることができた」と感謝を伝えた。
在校生は、最高学年として後輩たちを引っ張り、各行事で多くの役目を果たしてきた小林さんに向け、「輝かしい未来に向かって、大きく羽ばたいてください」とエールを送った。
式後、小林さんは「(1年生のときから)1人のさみしさはあったけど、全校のみんなと仲良くなり、こうして卒業を迎えることができた。中学校でも、同級生とたくさん話をして思い出をつくりたい」と話していた。
気仙の小学校は、19日までにすべての学校で卒業式が行われる。