懸命の消火活動に感謝 宿営拠点の夢アリーナ 緊急消防援助隊が解隊式(別写真あり)

▲ 宿営拠点の夢アリーナたかたを後にする各県隊。見送る地元関係者は、感謝を込めながら手を振り続けた(19日)

 大船渡市で発生した大規模林野火災を受け、県外から参集した緊急消防援助隊は19日、現地での消火活動を終え、派遣元の各県に帰隊した。最大2000人規模で活動に当たった同隊はこの日、青森、秋田、宮城各県大隊が陸前高田市内の宿営拠点で解隊式を実施し、これにより全ての隊員が引き揚げることとなった。前日の18日には渕上清大船渡市長が隊員のもとを訪ね、「皆さんの消火活動を無にすることなく、しっかりと被災した地域を再生する」と感謝の気持ちと復興への決意を述べた。(清水辰彦、高橋信)


 国からの要請を受け、現地に派遣された緊急消防援助隊。解隊式は宿営拠点として使われた高田町の夢アリーナたかたで行われ、3県の隊員計160人が臨み、大船渡地区消防組合消防本部、陸前高田市消防本部、同市職員、同市議会なども見送りに駆けつけた。
 佐々木拓陸前高田市長のあいさつに続き、指揮支援隊長を務めた仙台市消防局の山田敏夫消防司令長(58)が解隊を申告。
 大船渡地区消防組合消防本部の管野賢消防長は、激しい火災の中で昼夜を問わず住宅への延焼防止、残火処理など多岐にわたる活動に従事したことに感謝を示したうえで、「3月9日に鎮圧を宣言し、その後、緊急消防援助隊の解隊式を行うまでに沈静化することができたのは、皆さまの献身的な努力と支援があったからこそ。市民にとっても心強く感じるものだったと思う。皆さまが帰隊したあとも、引き続き鎮火に向けた警戒活動を展開し、市民が安心して暮らせる大船渡市を目指していく」とあいさつした。
 式後は、各県の消防車両が続々と帰路に就き、見送る側は手を振りながら、長期にわたる消火活動へと感謝の声を響かせた。
 山田消防司令長は「鎮火にはまだ至っていないが、鎮圧にまでこぎ着けることができた。被災された地域の方々の一日も早い生活再建、復興を祈っている」と心を寄せた。

懸命の消火活動に当たった隊員に感謝を伝える渕上市長(18日、左から2人目)

 これに先立ち、18日夕には渕上大船渡市長と引屋敷努副市長が夢アリーナたかたを訪問。市長は県大隊ごとに整列する隊員を前にあいさつし、「想像を絶する大規模火災となり、厳しい状況の中で大船渡市を守っていただいた。多くの場所で延焼を防いでくれたのが見て取れる。市民からも『わが家を守ってもらった』などという感謝の声が寄せられている。感謝の気持ちしかない」と市民を代表して謝意を伝えた。
 そのうえで、「今後は皆さんの消火活動を無にすることなく、被災家屋の再建、事業所の再建に向けて全市を挙げて取り組んでいく。被災した地域をしっかりと再生していく」と力強く語った。
 火災が発生した2月26日以降、隊員の拠点となった夢アリーナたかた。青森、秋田、宮城、山形各県から最多で約520人が利用し、山形県大隊は今月16日に帰隊した。
 平成以降最大規模にまで延焼拡大した中、最前線で活動に従事。気仙の住民らは手作り弁当を提供したり、寄せ書きを贈ったりして感謝の気持ちを伝えてきた。
 宮城県大隊長の澁谷康弘消防司令長(50)=大崎地域広域行政事務組合=は「第一に住民の不安を少しでも取り除くことを念頭に活動してきた。まちの人から会釈をされたりして頼られていると感じた。今回の教訓を生かし、住民のためにもなるような活動をしていきたい」と語った。