火災関連補正を可決 市議会定例会本会議 新副市長に藤枝氏(県職員)起用
令和7年3月20日付 1面


藤枝 修氏
大船渡市議会定例会は19日、最終本会議が開かれ、大規模林野火災に伴う補正予算を含めた当局提案の議案38件と、議員発議案3件をすべて可決し、閉会した。追加提案の補正予算では、災害廃棄物処理や生活再建支援金など約6億8000万円を計上。4月1日(木)から、副市長には県職員の藤枝修氏(52)を新たに起用する。
市議会は先月21日から定例会に入ったが、同19日に三陸町綾里の田浜地域で発生した林野火災を受け、同日の本会議は施政方針演述などの時間が大幅に短縮された。令和6年度補正予算などを審議する予定だった27日の本会議は、大規模林野火災の発生を受け休会。今月5日からの一般質問や、予算審議の委員会もなく、最終日を迎えた。
冒頭、渕上清市長は、大規模林野火災発生の対応状況などを説明。今後の取り組みに関しては、現地踏査を行うなど最終的な鎮火に向けた活動や避難生活のサポート、住まいの確保や生活再建サポート、事業者支援や失われた森林復旧などを挙げた。火災では市民1人が犠牲となった中、議場では黙とうがささげられた。
一般会計の6年度補正では、歳入歳出予算に2億9114万円を追加し、総額は221億4846万円とする。大規模林野火災の応急対応に伴い、災害救助費として▽避難所運営などに係る職員手当等1億4400万円▽避難者の食事に係る食料費6000万円▽住宅応急修理に係る委託料1911万円──などを盛り込んだ。
7年度補正は、歳入歳出とも3億8660万円の増額で、総額は215億7660万円。復旧・復興に関するもので被災者生活再建支援金に関する交付金として500万円、災害廃棄物処理に係る委託料として3億2350万円を計上した。
合わせて、市部局設置条例も一部改正。20日付で新たに、林野火災対策局を設置する。
新たな副市長には、県商工労働観光部産業経済交流課地域産業課長を務める藤枝氏=盛岡市=の選任同意を求める追加議案を全員賛成で可決した。新副市長の着任は4月1日付で、県職員出身で1年9カ月間務めた現副市長の引屋敷努氏(54)は県に復帰する。
提案にあたり、渕上市長は「引屋敷副市長は、県との連携強化はもちろん、幹部や若手職員とのコミュニケーション醸成に寄与されるなど功績を残し、県に復帰する。大規模火災の重要な局面を迎える中、私が思い描く豊かなまちをつくるために、地域社会の枠を超えた横断的な施策を講じる必要がある。引き続き、県との強固な連携が重要」と述べた。
議案審議終了後、引屋敷副市長は「火災が鎮圧し、これから復興に向かうという時に大船渡市から離れるのは心苦しく感じているが、今後は県職員として、市の発展に協力したい」とあいさつした。
この日は、定例会初日に上程された国の経済対策と連動した物価高騰対策事業などを盛り込んだ6年度一般会計補正予算や、保育料完全無償化などを進める7年度同予算も可決。議員発議では、大規模林野火災に係る復旧・復興への決議などを議決した。
新副市長の略歴は次の通り。任期は4月から4年間。
▽藤枝 修氏(ふじえだ・おさむ)平成9年県職員採用。同27年大槌町産業振興部長、同29年文化スポーツ部ラグビーワールドカップ2019推進課主任主査、令和2年県議会事務局議事調査課議事管理担当課長、4年商工労働観光部商工企画室管理課長、6年同部産業経済交流課地域産業課長。拓殖大卒。大槌町出身。昭和48年2月14日生まれ。