避難生活解消へ 第一歩 応急仮設住宅の整備に着手 県が蛸ノ浦と綾里で 5月上旬の完成目指す
令和7年3月20日付 1面

令和7年大船渡市大規模林野火災で住居を被災した世帯の避難生活解消に向け、県は19日に市内2カ所で建設型応急仮設住宅の整備に着手した。同日は建設地となる赤崎町蛸ノ浦地区の旧蛸ノ浦小学校と、三陸町綾里地区の旧綾里中学校各グラウンドで、測量や資材の運び込みなどが行われた。今後は敷地造成や木造長屋建ての仮設住宅建設を進めていく計画で、5月上旬の完成を目指す。(三浦佳恵)
市によると、今回の火災では赤崎町と綾里で全壊76棟を含む102棟の住家が被災。19日午後5時現在、193人が避難所や親戚・知人宅などでの避難生活を強いられている。
市は被災世帯の避難生活解消に向け、10日に県に対して応急仮設住宅の建設を要請。地域コミュニティーを維持した生活に配慮し、旧蛸ノ浦小に10戸、旧綾里中に30戸の整備を想定している。
市から要請を受けた県は準備を進め、建設に着手。19日は県の職員や工事関係者らが旧綾里中、旧蛸ノ浦小の順に赴き、敷地内で建設範囲の計測や建物配置の確認、地縄張り、電柱を立てるためのくい打ち、資材の運び込みなどを行った。
今回整備するのは建設型の仮設住宅で、いずれも木造の長屋建て。長屋は1棟当たり3~4戸からなり、蛸ノ浦には3棟、綾里には9棟を建設し、間取りは2Kと3Kの2種類を見込む。断熱性や、大家族が入居する際に間取りの拡張が可能といった理由から木造とした。
今後は5月上旬の完成を目指し、敷地造成や仮設住宅の建設を進める。併せて、電気や水道、ガス、合併浄化槽など必要なライフラインも整備する。
市は仮設住宅のほか、公営住宅や民間賃貸住宅の確保に向け、21日(金)まで被災世帯に対して「今後の住まいに関する意向調査」を実施中。県はこの結果を共有し、仮設住宅の最終的な整備戸数を調整するとともに、完成予定日を確定する。市としても、仮設住宅の整備と並行して入居にかかる募集や手続きなどを進めていく。
県県土整備部建築住宅課の刈谷洋祐営繕課長は「今回の火災により被災された方々は、不安を抱えながら過ごしていると思う。安心できる生活を取り戻せるよう力を尽くし、少しでも早く応急仮設住宅が完成できるよう整備を進めていきたい」と話している。