〝復活〟望む声も多く  人気コース通行不可に みちのく潮風トレイル 林野火災で広範囲に被害

▲ 火災の影響で、みちのく潮風トレイルのコースも利用不可となっている

 豊かな森と青い海、リアス海岸からの大展望──。青森、岩手、宮城、福島4県の沿岸部約1000㌔を結ぶ長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」のコースの一部となっている大船渡市赤崎町や三陸町綾里。多くのハイカーから人気を集めていたこのコースも、大規模林野火災によって被害を受け、トレイルとしての利用は不可となっている。復活を待ち望む声も多いが、関係機関・団体は「まずは現場が落ち着いてから」と現地入りを控えており、今後、状況を見ながら現地調査などを行う予定。(清水辰彦)

 

 青森県八戸市から福島県相馬市までの4県28市町村にまたがるみちのく潮風トレイルは、環境省が復興支援のために地元住民らと協力しながら整備。令和元年に全線が開通し、昨年、5周年を迎えた。
 同トレイルのうち、火災による影響が特に大きいと考えられるのは、赤崎町の三陸鉄道リアス線「陸前赤崎駅」から三陸町綾里の「恋し浜駅」付近までのおよそ25㌔区間。
 綾里にある市指定名勝の不動滝、絶景が広がる綾里埼灯台付近、綾里漁港付近などを通るこの区間は、急勾配な山道もあるが、それも〝歩きがい〟となり、住民との交流を楽しめることもあって、国内外のハイカーから親しまれていた。
 同トレイルを運営するNPO法人みちのくトレイルクラブでは、地元関係機関と情報共有は行っているが、鎮火し、状況が落ち着くまでは現地調査を控えるとしている。
 同法人では、ハイカーらに対して「被災された地域の方々や、安全確認を行う現場の方々に迷惑をかけることになるので、通行不可区間には絶対に立ち入らないようお願いしたい」と注意喚起しており、三陸駅(越喜来)─盛駅間は三陸鉄道を利用するよう求めている。
 みちのく潮風トレイルのサテライト施設である末崎町の碁石海岸インフォメーションセンターでも、「現地に入れてはいないが、トレイルのコースも大きな被害を受けた可能性は高い」としている。通行できるようになったとしても、地すべりなどの危険性の排除、景観の復活には長い時間を要することが見込まれる。一方で、被害を受けていないコースに関しては「通行止め情報などを把握したうえで、ぜひ歩いて地域の魅力を感じてほしい」と呼びかけている。
 6年度、観光庁から事業採択を受け「地域の魅力で紡ぎ、ハイカーと共に育てる、長く歩く道」と銘打ち、トレイルに関する勉強会や地域が連携しての受け入れ体制整備、冬季観光の強化につながる観光コンテンツ開発を展開してきた一般社団法人・大船渡地域戦略。同法人によると、綾里を通るコースは地域の魅力に引かれて国内外から訪れるハイカーが増えてきていたといい、「外国人が増加傾向にある中での火災は、観光面でも大きな打撃だ」としている。同法人によると、各地のハイカーからは「心配している」「できることがあればやりたい」という声が多く寄せられているという。来年度からは、被害を受けたルートの再生に向けた事業展開も視野に、観光面からの復興の後押しを目指す。
 トレイルコースの復活を望む声は多いが、現状はまだ鎮火宣言には至っておらず、まずは被災者の生活再建、なりわいの再生が優先されるべきであるとの認識から、各関係機関では状況が落ち着いたのち、被害調査、コースの地権者の意向なども踏まえて、協議しながら今後の方針を判断していく。