校史78年の歩み誇りに 大船渡中で閉校式 来年度に末崎中と統合(別写真あり)

▲ 母校への誇りと感謝の思いを胸に最後の校歌を合唱する生徒ら

 来年度に大船渡市の末崎中学校と統合して、新生「大船渡中学校」となる大船渡中学校(和賀真樹校長)の閉校式は22日、同校で行われた。校訓『黒潮魂』を精神的支柱とし、伝統の郷土芸能継承など、古里とともに発展を続けてきた同校。平成23年の東日本大震災では体育館が避難所になり、校庭には仮設住宅が建設され、地域の復興を支えた。生徒らは、78年にわたる校史の閉幕を惜しみながら、母校、地域に対する誇りと感謝の思いを胸に、次なる舞台での活躍を誓った。(菅野弘大)

 

 市主催の式には、本年度卒業生を含む全校生徒や地域の公民館長、来賓ら約190人が出席。渕上清市長は「この学びやで培われてきた歴史と伝統、校風は、卒業生や地域の皆さまの胸に刻まれ、統合後も次代を担う子どもたちにしっかり受け継がれていくと確信している」と式辞。
 教育委員会告辞で、小松伸也教育長は「新しく出会う仲間と切磋琢磨し、地域と交流を深め、新たな大船渡中の歴史と伝統を築き上げてほしい」と述べた。
 和賀校長は「生徒たちは閉校の寂しさと新しい学校への希望、不安を抱きながら学校生活に全力で取り組み、成長してくれた。新生・大船渡中でも、『黒潮魂』がつなぎ、紡いできた大中生の精神を身命とし、豊かな心を育む活動を推進していく」とあいさつした。
 生徒代表でお別れの言葉を述べた前生徒会長の佐藤希咲さん(3年)は「閉校を迎えると思うと、寂しい気持ちでいっぱい」としながら「大船渡中の伝統が先輩から後輩へと引き継がれてきたのは、先輩方や地域の方々が、大船渡中を愛し、誇りに思う心、そして大中生同士がお互いを敬愛し、尊重し合う気持ちを大切にしてきたからだ。新生・大船渡中となっても、大中生としての誇りを忘れずに新たな伝統を一から自分たちの手で創り上げ、地域の方々、ともに過ごす仲間から愛され続ける大船渡中にしていって」と呼びかけた。
 和賀校長が小松教育長に校旗を返納。久木美乃さん(同)のピアノ伴奏に合わせ、最後の校歌を高らかに学びやに響かせた。
 統合にあたり、同校では昨年から、末崎中との生徒交流会を計4回開催し、レクリエーションや授業交流で絆を深めてきた。
 生徒会長の佐藤一希さん(2年)は「交流会を通して、仲や絆は深まってきている。統合して生徒数が増え、みんなが統合して良かったと思えるように、にぎやかで明るく楽しい学校にしたい」と意気込んだ。
 大船渡中は昭和22年4月、大船渡小に仮校舎を置いて開校。同25年に大船渡町明神前の校舎に入り、その後、同59年4月に落成した現在の校舎に移った。同61年10月から、伝統継承と生徒の健全育成を目的として郷土芸能を開始した。
 平成23年3月の震災で体育館は避難所となり、5月には校庭に仮設住宅138戸が建設され、被災者の生活や地域の復興を支えた。28年に撤去、29年に校庭の使用が再開された。
 本年度を含め、計1万2949人の卒業生を輩出。閉校記念事業として、主に平成10年以降の歩みをまとめた閉校記念誌を発刊し、震災やコロナ禍を乗り越えて発展してきた校史を後世に伝える。
 末崎中の閉校式は23日に行われる。