母校の誇りと伝統 永遠に 末崎中閉校式 来年度に大船渡中と統合(別写真あり)

▲ 母校の閉校を惜しみながら感謝を伝える校歌を合唱する生徒ら

 来年度に大船渡市の大船渡中学校と統合して、新生「大船渡中学校」となる末崎中学校(佐々木伸一校長)の閉校式は23日、同校で行われた。「海と生きる」をテーマとした伝統のワカメ養殖学習など、地域との強い結びつきを生かして特色ある学びを展開し、歴史を築いてきた同校。生徒らは「末崎中」の名がなくなっても、母校の誇りと伝統を永遠に受け継ぎ、培った力を新たな学校で伸ばし、発展させていく決意を固めた。(菅野弘大)

 

 市主催の式には、本年度卒業生を含む全校生徒や地域の公民館長、来賓など約140人が出席。渕上清市長は「この学びやで培われてきた歴史と伝統、校風は、卒業生や地域の皆さまの胸に刻まれ、統合後も次代を担う子どもたちにしっかり受け継がれていくと確信している」と式辞。
 教育委員会告辞で、小松伸也教育長は「新しく出会う仲間と切磋琢磨し、地域と交流を深め、新たな学校の歴史と伝統をつくり上げて」と述べた。
 佐々木校長は「この末崎での経験は、末崎を誇りに思い、豊かな人間性を培い、時代を担う生徒を育む礎となった。末崎中学校は皆さんの心に在り輝き続ける。永遠に伝統は語り継がれる」とあいさつした。
 生徒代表でお別れの言葉を述べた生徒会長の松岡孜馬さん(2年)は「この日が来ることは分かっていたが、愛され続けた学校がなくなることの重さを実感する。無事に閉校を迎えられることは、寂しくもうれしい」とし、「歴史ある学校にふさわしい幕引きとするため、全校で団結してこの一年を過ごしてきた。この学校で培ったことを忘れず、大船渡中学校でも頑張っていく」と決意を示した。
 佐々木校長が小松教育長に校旗を返納。全員で「あつまり散じて人はかわれど 傳統はゆるがじ希望ははるか」と校歌を合唱し、母校への惜別と感謝の思いを込めた。
 同校では、本年度を含めて計6945人の卒業生を輩出。閉校前の最終年度となった本年度、地域と連携した防災学習やツバキの記念植樹、地域交流会「どうも どうも♡」などの閉校記念事業を展開し、学校を支えた保護者や地域への感謝を伝えた。
 最後の卒業生となった前生徒会長の村上奈央さん(3年)は「帰る場所がないように感じて寂しいが、末崎中で培ったことに自信を持ち、充実した高校生活を送りたい。1、2年生は個性を大切にしながら、新しい仲間と新しい環境で団結して頑張ってほしい」とエールを送った。
 末崎中は昭和22年4月、末崎全村を一学区とし、末崎小に併設して開校。同24年に木造新校舎が完成し、同27年に市立末崎中に改称した。平成14年4月から、総合的な学習の時間でワカメ学習に取り組んだ。
 平成23年3月の震災で校舎の一部が被災し、5月には校庭に仮設住宅70戸が建設され、被災者の生活や地域の復興を支えた。28年に撤去、供用を再開した。
 新生・大船渡中では、校舎は現・大船渡中、校章は末崎中のものが引き継がれる。新しい校歌は、末崎町出身のシンガーソングライター・濱守栄子さんが作詞・作曲した。