太平洋セメントグループが6700万円寄付 大規模林野火災義援金 がれき処理貢献にも意欲

▲ 義援金の目録を手渡す不死原会長(中央)

 太平洋セメント㈱(本社・東京都、田浦良文社長)と㈱龍振鉱業(同・大船渡市、大庭裕士社長)、岩手開発鉄道グループ(同市)は25日、太平洋セメントグループとして大船渡市の大規模林野火災義援金6700万円を寄付した。避難指示に伴い、同市赤崎町の太平洋セメント大船渡工場は操業停止を余儀なくされたが、18日までに再開。被災者の生活再建だけでなく、がれき処理など復旧・復興への貢献にも意欲を見せる。
 贈呈は市役所で行われ、太平洋セメントの不死原正文会長と中島卓哉大船渡工場長、龍振鉱業の川原一也総務部長、岩手開発鉄道㈱の岡田真一社長らが訪問。市側は、渕上清市長や引屋敷努副市長らが対応した。
 目録を渕上市長に手渡した不死原会長は「リアス海岸での消火の難しさを痛感したが、市や消防関係者らの方々が尽力された。復旧・復興に役立てていただきたい」と述べた。
 これに対し、渕上市長は「多くの皆さんに多大な影響が及び、人命第一の観点から、避難指示も拡大せざるを得ない状況だった。早期の再建に向け、一丸となって取り組みたい」と語ったほか、各事業所の従業員が所属している消防団活動への理解・協力にも感謝を示した。
 懇談では、引屋敷副市長が延焼が広がった経緯や、住家だけでなく、漁業やアワビ養殖、養鶏業など産業面にも被害が確認されている現状を説明。太平洋セ側は、14年前の東日本大震災でも大船渡工場の設備を生かしてがれき処理にあたった経験などを振り返りながら、大規模火災でも予想される処理業務への貢献に意欲を示し、不死原会長は「できることは全部やる」と力を込めた。
 大船渡工場は、2月28日に敷地の一部が避難指示対象となり、焼成炉の1号キルンと5号キルンを停止し、原燃料受け入れやセメント出荷を見合わせた。これに伴い、龍振鉱業や岩手開発鉄道でも、石灰石出荷や各種事業を停止。3月7日の避難解除を受けて操業再開の準備を進め、18日までに平常通りの体制となった。火災による設備の損傷や人的被害はなかった。
 大規模林野火災を受け、市では被災者に寄せられた分は「災害義援金」、市の災害復旧・復興事業等へ寄せられた分は「災害見舞金」として対応。義援金は19日までに、2億9096万円が寄せられている。今回の寄付は、1グループとしてはこれまでで最高額となった。