「管理人の現状」意見交換 公営住宅自治会の勉強・交流会 団地ごとの違い・工夫共有
令和7年3月27日付 1面

東日本大震災後に各地に整備された災害公営住宅の自治会に関する勉強・交流会が24日夜、大船渡市盛町の県営みどり町アパート集会所で開かれた。「県営住宅 管理人について」をテーマとし、集金や会計管理の現状、管理人業務を担う住民確保・育成などについて意見交換しながら、よりよい運営の形を探った。
県営住宅の管理人は、団地内の代表者として主に連絡役を務める。市営住宅にはない仕組みで、金銭や個人情報も取り扱う。自治会で対応すべき業務範囲とも近く、自治会役員が兼務する団体も見られる。
この勉強・交流会は、県被災地コミュニティ支援コーディネート事業として実施。仮設住宅団地の時から気仙で被災者支援に当たるコーディネーターの船戸義和さん(46)が中心となって運営している。
気仙両市や山田町の県営アパート管理人や、自治会関係者ら10人余りが参加。管理人が担う共益費の集金・支払いの現状や繰越金の取り扱い、住民間での管理人の選考方法などを語り合った。
共益費では未納世帯の対応で意見を交わしたほか、管理人・自治会役員の輪番制も議論となり、人材確保・育成を課題に挙げる声が目立った。このほか、トラブルや困り事が生じた際の住宅センターへの連絡、救急搬送された家族がいる世帯への対応など〝まとめ役〟同士ならではの話題を通しても交流を深めた。
船戸さんは「きょうは断片的ながら、いろいろな話が聞けたと思う。今回出た情報をもとに『どうあるべきか』という流れになっていけば。その際には、支援者をうまく使って協議してほしい」とアドバイスした。
参加した県営上平アパート(大船渡町)管理人の刈谷伸太郎さん(69)は「現在は50世帯余が生活しているが、団地それぞれで運営の違いがあることが分かって良かった。今後の活動の参考になった」と話していた。
気仙両市の災害公営住宅は、大船渡市内に25団地801戸(市営・県営)、陸前高田市内に11団地895戸(同)が整備された。平成29年度までに全て完成し、近年は、被災者以外の入居利用も進む。
団地ごとに戸数や入居人数が異なり、それぞれの実情に合ったコミュニティーづくりが進む半面、共通する課題の解消や先進的な取り組みの共有など、団地の枠を超えた交流の重要性も高まっている。
勉強・交流会は28日(金)午後6時30分から、陸前高田市気仙町の市営住宅今泉団地集会所でも開催。「清掃活動への参加を増やすには」をテーマに掲げて、意見を交わすことにしている。