公共施設 利用再開進む 大規模林野火災1カ月 リアスホールは通常体制に
令和7年3月27日付 1面

大船渡市大規模林野火災の発生から、26日で1カ月を迎えた。市内の公共施設は通常通りの利用に戻りつつある。一方、利用者が多い盛町の市民体育館はアリーナが救援物資の受け入れ拠点となっているため現在も全面使用できず、他のスペースも時間を限定するなど、火災の間接的な影響は今も残る。市はアリーナの再開時期について「4月以降」としているが、早期再開に向けて調整を続ける。(佐藤 壮)
小中学校の開放体育施設も
市民体育館アリーナは「4月以降」

通常利用が再開しポスターの張り出し作業を行うリアスホール職員
市民文化会館リアスホールは、大規模林野火災が発生した先月26日から避難所となったため、貸館や窓口業務、新規予約対応を休止していた。今月26日午前9時にいずれも再開し、通常通りの体制に戻した。
同日は、職員が5月に予定しているイベントのポスターを張り出す作業などを行いながら、訪れた市民らを出迎えた。磯谷美香子館長は「再開を迎えられてうれしい。皆さんが前のように使っていただければ」と話し、期待を込める。
避難指示を受け、同館では三陸町綾里と赤崎町の両地区住民を中心に最大で270人超が利用。館内1、2階のホワイエや会議室、マルチスペース、展示ギャラリー、楽屋などで身を寄せたほか、練習室は子どもが声を出して過ごせる空間として、レストランは一般住民の談話スペースとして活用。小学生以下や受験生がいる家族に加え、感染症に罹患した住民を個別に受け入れる対応もとった。
3月14日まで避難者が利用。15日~25日は避難生活で使われた物資の運び出しを行ったほか、清掃など原状復帰作業も行われた。
避難所以外の公共施設も、火災発生直後から使えない状況が続いた。市民体育館や盛川河川敷等は自衛隊の拠点となったほか、市内の公共スポーツ施設や学校体育施設は3日~9日にかけて、スポーツ少年団を含め全て貸し出しを停止する措置がとられた。
現在は、ほぼ全施設で再開。綾里小や越喜来小、大船渡一中の学校開放事業も通常体制に戻った。
今月26日時点で利用を停止しているのは、盛町の市民体育館アリーナと三陸町綾里の三陸B&G海洋センター体育館。市民体育館アリーナは避難所開設以降、救援物資の拠点となっており、再開予定は「4月以降」とする。市協働まちづくり部では「現在、別の施設に集積場所を確保するよう調整を進めている。早い段階で再開したい」としている。
多目的ルームや卓球場、柔剣道場は平日午後6時~9時に限定。市民体育館は令和5年度利用者が約4万8000人に上り、各種大会だけでなく趣味やレクリエーション、文化・健康行事も行われる中、多くの利用者が再開の見通しを注視する。
避難指示解除を受け、公共施設の避難所は、立根町の県立福祉の里センターと三陸町綾里の綾姫ホールの計2カ所に集約された。同センターにはスポーツ利用にも対応できる多目的ホールを備えているが、4月いっぱいは利用申し込みを受け付けないことにしている。
利用停止が続いていた主な施設の対応状況は別掲。
「確証持って鎮火宣言を」 市長
大船渡市の渕上清市長は、25日夕に東海新報社の取材に応じ、大規模林野火災の鎮火見通しについて「23日に地元消防団を含めた400人体制の活動でも、白煙や燃え残りがあったと聞いている。『ここまでに行う』と期限を定めず、しっかりとした確証を持って行いたい。今の段階で目標時期は言えない状況」と語った。
林野火災は先月26日に出火。焼失面積は赤崎町や三陸町綾里、越喜来の約2900㌶に及び、3月9日に鎮圧宣言が出された。県外からの緊急消防援助隊は19日に帰隊したが、その後も県内応援隊や大船渡地区消防組合による警戒、調査活動が続いている。