まちと心の復興願い演奏 大火受け、支援のコンサート 大船渡一中、高田第一中の吹奏楽部 気仙各市で(別写真あり)

▲ 古里への思いを込めて音色を響かせる大船渡一中吹奏楽部=サン・リア
▲ 明るい曲を披露し観客に思いを伝える高田第一中吹奏楽部=アバッセたかた

 大船渡市立第一中学校吹奏楽部(井東未来部長、部員30人)と陸前高田市立高田第一中学校吹奏楽部(菅野晴音部長、部員18人)は29日、大船渡市大規模林野火災にかかる支援活動の一環として、それぞれの市でチャリティーコンサートを開いた。演奏と合わせ募金活動も実施。部員らは「音楽を通じてできることを」と、まちと心の復興への思いを音にこめた。
 大船渡一中は、盛町のサン・リアいこいの広場で6曲を演奏。『コラール(祈りの言葉)』で開幕し、『ハルカ』『愛をこめて花束を』による穏やかな曲調で観客の心をつかむと、『Happiness』などの明るい選曲で会場を盛り上げた。
 会場には募金箱が設置され、生徒らも、小さな募金箱を手に協力を呼びかけ。開演前から多くの観客が来場し、生徒らへの激励の言葉とともに善意を寄せた。
 コンサートは、生徒らによる発案を、保護者らでつくる育成会と学校が後押しし実現。「地元の吹奏楽部だからこそできることを」と、古里への思いを一つにし、練習に励んできた。
 井東部長は、被災した同世代にも思いを寄せて演奏。「被災された方々が抱えている不安を、少しでも取り除けるような支援に充ててほしい」と願っていた。
 一方、高田第一中は、高田町のアバッセたかたで、『パラダイス・ハズ・ノーボーダー』をはじめ明るい曲調の4曲を披露。アンコールの『宝島』を吹く頃には約100人の観客が来場し、手拍子で部員らと心を通わせた。募金活動には同校生徒会執行部の生徒も参加し、寄せられた多くの善意に「ありがとうございます」と笑顔を交わした。
 同校吹奏楽部のコンサートは、同部保護者会の発案に生徒らが賛同し、学校も協力。本番までの約2週間、部員らは「少しでも支えになりたい」と心を一つにして練習に励んできた。
 フルートの上部百葉さん(2年)は「音楽と中学生の力で、大船渡への応援の気持ちが少しでも届くよう演奏に思いをこめた」と、ホルンの齊藤あかりさん(1年)は「被災地域に直接行って演奏したいぐらいの気持ち。一日も早く日常が戻るよう願っている」と話していた。(栗村勇翼、阿部仁志)