13年の支援活動に幕 カリタス大船渡ベースが閉所 震災復興、地域交流の拠点

▲ 3月31日で活動を終え、閉所したカリタス大船渡ベース。活動最終日はスタッフらが慌ただしく閉所作業にあたった

 大船渡市大船渡町地ノ森のカリタス大船渡ベース「地ノ森いこいの家」(菅原圭一ベース長)は、3月31日で活動を終了し、閉所した。東日本大震災の被災地支援としてボランティアを受け入れる拠点となり、復興のフェーズが変わってからは、被災地に暮らす住民を中心とした人々の交流を生み出してきた。閉所を惜しむ声も上がる中、同ベースでは「多くの方々の支えがあって、ここまで続けてこられた」と13年間の感謝を伝えている。
 同ベースは、震災発生翌年の平成24年1月14日、カトリック教会が立ち上げた八つのボランティア拠点(ベース)の一つとして、大阪教会管区(現・大阪高松教会管区)とカリタスジャパンの支援で開所。義援金を運営資金とし、宿泊機能も整備された施設では、全国、海外からのボランティアの受け入れや現場への派遣を行ってきた。
 開所当初のボランティアは、被災現場でがれきの撤去や泥上げなど、人手を必要とする作業が多かった。漁業、農業における支援にも力を貸した。大津波の惨状に触れ、つらさや苦しさを抱えたボランティアのため、同ベースでは、1日の終わりに派遣した参加者を集めて活動を報告する時間を設け、気持ちを発散できる場をつくるなど、心のケアも欠かさなかった。
 年月を重ねるとともに、復興に向けたボランティアのニーズも変化。力仕事的な活動から、住民らの交流を促したり、心に寄り添う取り組みにシフトし、手芸や体操、スマホ教室などの各種サロン活動を続けてきた。買い物送迎や一人暮らしの高齢者宅への在宅訪問も需要が高かった。
 コロナ禍には、これらの〝人を集める活動〟も制限されたが、そんな状況下で始めた絵手紙でやりとりする「絵手紙の輪」の活動は全国から参加があり、昨年12月まで4年以上続いた。
 閉所は昨年4月ごろ、菅原ベース長(69)がスタッフに告げ、内々で準備を進めてきた。「運営資金が尽きれば活動も終わりになる。平成28年ごろには、『あと5年くらいかな』と見据えていたが、コロナ禍もありこのタイミングとなった」と経緯を語る。
 今年2月には、市内で大規模林野火災が発生。同ベースでも「震災と同じようにボランティアが必要とされるのではないか」と状況を注視したが、市や市社会福祉協議会による災害ボランティアセンター開設の動きも踏まえ、予定通り3月末で閉所することとした。
 3月11日には、近隣住民やサロン参加者を招いて「感謝の集い」を開催。約50人が参加し、同ベースでの活動を振り返りながら、復興、そして地域に重要な役割を果たしてきた施設に感謝を伝え、閉所を惜しんだ。閉所後の建物の利活用については、今後検討することとしている。
 「大船渡ベースを支えてくださった大阪をはじめとする関西の教会に感謝し、たくさん足を運んでくれたボランティアのおかげで、大船渡、陸前高田はここまで復興できたと思う」と菅原ベース長。「活動をともにしたベーススタッフなど、多くの方々に感謝したい。活動は終わるが、建物が今後、地域のために使われていくことを願う」と話している。
 同ベースでは、5月18日(日)に「大船渡ベース閉所『感謝の集い』」を開く。同町のカトリック大船渡教会で午前10時からミサ、同ベースで午後1時から閉所式を行う。