経済活性化へ積極展開 大規模林野火災の影響残る中で新年度スタート 民間はポイント付与キャンペーンも
令和7年4月1日付 1面

きょうから令和7年度のスタートとなる4月に入った。大船渡市では、2月26日に発生した大規模林野火災の影響が経済面にも影を落とす中、苦境を打破しようと、民間団体が新たなポイントサービスなど独自の取り組みを展開し、積極的な購買・サービス利用や、市外からの来訪増を見据える。行政側も独自施策として予定通り第1子の保育料完全無償化を進め、子育て世代の経済支援や地元企業の雇用確保などを後押しする。(佐藤 壮)
保育料無償化は予定通り

「こどもまんなか応援サポーター」を宣言した中で保育料完全無償化も実施
一般社団法人大船渡地域戦略(志田繕隆理事長)は今月、市内経済活性化を見据え、同法人が運営する地域循環ポイントアプリ「大船渡さんぽ」を生かした新たなキャンペーンを行う。24日(木)に、全会員に1000ポイントを贈呈する。5月11日(日)までの間に、1ポイント1円分として市内の加盟店舗で利用でき、積極的な活用を後押しする。
「大船渡さんぽ」は、消費者がスマートフォンでアプリをダウンロードし、各種情報を登録。会計時にアプリを使うと、支払額100円につき1ポイント(1円分)がたまる。消費・ポイント利用双方の〝地域循環〟を狙いとし、2月末で会員数は約3500人、加盟店は70店舗を超える。
キャンペーン開始までに新規登録した会員にも付与。さらに、加盟店向けには、通常は利用額の2%分を徴収する手数料を免除する。新たな加盟店も受け付け、今月15日(火)と16日(水)の午前10時~午後4時には、盛町の岩手開発産業2階で説明会を計画。参加すれば、24日のキャンペーン開始までに準備できるという。
大規模林野火災以降、避難指示区域や延焼区域だけでなく、市全体で飲食店利用や消費の冷え込みが指摘される。「送別会の予約がキャンセルになった」など、間接的な被害は多方面に及ぶ。
志田理事長は「市内の事業者が苦しんでいる。再び通常の利用に戻ったり、さらに活性化するためのきっかけになれば」と、キャンペーンの狙いを語る。ポイント付与の財源には、令和7年度に見込まれる利益を充てるほか、大規模林野火災以降に寄せられた同法人への寄付も一部生かす。
民間による動きでは、オートバイでの来訪者をターゲットとした市観光物産協会(齊藤俊明会長)などによる「おおふなとライダー割」が1日に始まる。商品の割り引きや、プレゼントのサービスを行うもので、東北では初の試み。市内の飲食、物販、宿泊など40店舗超が加盟した。自粛ムードが懸念される中、関係者は来訪増による活気創出に意欲を見せる。
渕上清市長も先月21日の記者会見で「年度末にかけ、相当数のキャンセルが生じたことも耳にしている。4月からは機会をとらえて外出してほしい。新年度は平時に戻し、経済活動を回したい」と語った。官民とも、4月のスタートを経済活性化の節目ととらえる中、大規模火災からの復旧・復興を後押しするムードの高まりが注目される。
経済面にもつながる行政施策では、4月から市の独自支援として第1子の満3歳未満児保育料が無償となる。保育料はこれまで、第2子以降の児童は無料。第1子のうち、生活保護世帯や市町村民税非課税以外の世帯は、所得に応じて月額1万4600円~3万9600円となっており、百数十人が該当していた。
市は7年度予算に無償化を進めるための財源約3500万円を計上。子育て世代だけでなく、企業側の雇用確保支援の側面でも後押ししたい考え。こども家庭センターによると、保護者側が手続きを行う必要はないという。