2025住田町長選/7月15日告示、20日投開票 町長選 町選管が日程決める 出馬表明は現職のみ
令和7年4月2日付 1面

住田町選挙管理委員会(髙橋美枝子委員長)は1日、役場で定例会を開き、任期満了に伴う町長選の日程を「7月15日(火)告示、7月20日(日)投開票」と決めた。現在、出馬を表明しているのは2期目の現職・神田謙一氏(66)=下有住=のみ。8年ぶりの競争選となるか、対抗馬擁立の動きに関心が集まっている。
現職の神田氏は日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協に入り、合併した陸前高田市農協を経て、平成19年住田フーズ㈱取締役生産部長、24年同社常務取締役に就いた。
4期務めた多田欣一氏(79)=世田米=が勇退を表明したことにより、16年ぶりに「新リーダー」を選ぶこととなった平成29年の町長選に初出馬。多田氏の支持層を取り込みながら選挙戦を進め、企業経営に関わってきた人脈と経験も生かし、町議を辞して臨んだ新人との一騎打ちを僅差で制した。
就任1期目から、「住民生活の基本である『医・食・住』の充実」を重点に掲げて町政を運営。2期目に入り、医療分野では「在宅医療等のあり方検討会」を設置し、医療資源の限られる町内において関係機関と連携しながら誰もが住み慣れた地域で暮らせるよう、在宅医療を推進している。
「食」では、関係機関と連携しながら、土壌改良効果や二酸化炭素排出量削減が期待される「高機能バイオ炭」の実証試験などの耕畜連携事業を展開。「住」に関連しては、仮設住宅跡地に仕事と学び複合施設(愛称・イコウェルすみた)を整備して人材交流拠点とすることで、関係人口拡大とそれによる若者の移住・定住促進を図っている。このほか各種施策において独自のカラーを打ち出しつつ、自治体の枠を超えて近隣市と連携もとりながら町政運営に当たる。
次期町長選を巡っては、2月27日に開かれた町議会定例会初日の施策方針演述において、「次期総合計画に定める各種施策に取り組んでいき、引き続きまちづくりの先頭に立ち、町民の皆さま一人一人とともに歩み、ともに成長し、成長し続ける決意」と、出馬を明言した。
現在、新人の起意や擁立への動きはみられず、町内には早くも無競争のムードが漂う。今後、対抗馬の擁立が図られ、前々回ぶりの競争選となるかが最大の焦点となってくる。
前回選時から新人出馬の〝壁〟の一つとされていたのが、前町長時代からの最重要課題である木工団地2事業体の問題。町から巨額の融資を受けながらも破産した三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーに関して、町は農林業振興資金貸付基金からの貸付金や利息、遅延損害金の支払いを連帯保証人らに求め、令和2年10月に提訴した。
前回選時には「この問題が片付くまで、新人は名乗りを上げづらい」「まず現体制でこの問題にけりを付けてもらわないと」という声も聞かれたが、4年以上におよんだ訴訟は今年3月19日に和解が成立し、終止符が打たれた。これにより、対抗馬擁立への動きが出るかが注目される。
神田氏は政党などへの推薦要請はせず、無所属で出馬する意向。選挙日程が決定したことにより、後援会(泉金一会長)の動きも活発化していくとみられる。
町選管によると、立候補予定者説明会は6月下旬に開催される予定。3月31日現在の同町の有権者数は4108人(男2004人、女2104人)。前回選告示日と比べて488人少ない。