空き家除く住家被害86棟 大規模林野火災 市議会全協で当局説明 漁協63組合員が倉庫、漁具等焼失
令和7年4月3日付 1面

大船渡市は、大規模林野火災による先月31日段階での被害状況をまとめ、2日の市議会全員協議会で説明した。建物被害は221棟で、先月9日の公表時よりも11棟増加。居住使用の住居は86棟で、このうち全壊は54棟となった。綾里、大船渡市の両漁協計63組合員が倉庫や漁具などを焼失。産業面の被害額は「調査中」が多く、市は引き続き全容解明を急ぐ。復旧・復興に向け今後の取り組みの方向性が示された中、議員からは、森林復旧だけでなく治山対策や各種事業を進める職員確保を強調する意見も出た。(佐藤 壮)
市がまとめた家屋等、産業等の被害は別掲の通り。建物棟数は全体としては増加したが、住家数は先月9日発表の102棟から減少した。
市は「罹災証明書等の交付に合わせ、住家は実際に居住のため使用している建物として再集計した。居住実態がない、いわゆる『空き家』については住家以外として集計した」と説明し、今後の調査でも変更となる場合があるとしている。
住家被害86棟のうち、仮設住宅の入居対象には該当しない一部損壊、準半壊は28世帯。応急修理の間、民間賃貸住宅の「みなし仮設」利用申請は受け付けている。
建設型の応急仮設住宅は、旧綾里中グラウンドに30戸、旧蛸ノ浦小同に10戸を計画。市側は、被災者に実施した意向調査で24戸分の第一希望があり、当初公営住宅を希望した世帯が抽選で外れて変更した場合でも間に合う見通しを示す。
産業分野のうち、農林業関係では、避難指示に伴うブロイラー被害が2事業者、農家の倉庫焼損は16戸に及ぶ。1事業者の菌床シイタケ栽培施設、気仙地方森林組合の林業機械4台も被害を受けた。
水産業関係では、綾里漁協の定置漁業用倉庫に加え、施設内に保管されていた定置網漁具2カ統4セットが焼損。同漁協と大船渡市漁協に所属する計63組合員が倉庫、漁具等の焼失被害を受けた。アワビ養殖を展開する民間事業所では、停電等で約250万個がへい死した。
漁協組合員は、大半が14年前の東日本大震災でも被害を受けた。漁具をはじめとする漁業被害者の負担軽減策について、市側は「国の事業活用を要望している。国や県が事業の仕組みについて調整しているが、事業費負担の有無は現段階では示されておらず、引き続き要望していきたい」とする。
商工・観光分野のうち、建物や機械設備といった直接的な被害だけでなく、予約キャンセルや避難指示期間中の売り上げ減少といった間接的な被害も把握。大船渡商工会議所や県と連携し、3月10日まで避難対象となった三陸町綾里や赤崎町の一部を調査したものなどをまとめた。市側は「避難対象エリアの事業者と取引していた区域外にある事業者にも影響が及んでいる」との認識を示す。
このほか、綾里地区や赤崎町長崎地域にある7テレビ共聴施設で、ケーブル等の損傷があった。鉄道施設では橋梁排水や枕木など約100万円の被害があった。
鉄道被害を除く分野の被害額はすべて「調査中」。このほかにも、市は人工林の被害額も相当規模に上るとみており、被害額確定に向けた調査事業に力を入れている。
議員からは「今後の土砂災害が懸念される。治山事業が重要」との指摘があり、市当局は県が中心となって検討を進めている現状を説明。林野再生を含め、復旧・復興に向けては膨大な事業や調整が予想される中、知見・経験を有する職員確保の重要性も話題に上った。
市は全員協議会で、今後の対応に関して▽林野火災対応▽避難所運営等▽被災者支援▽組織横断的対応──の各方向性別の取り組みも示した。
このうち、林野火災対応では引き続き、鎮火に向けた活動を実施。5日(土)は2隊編成で林道や再燃箇所の最終調査、7日(月)は県防災ヘリで上空偵察も行う。各消防団の夜警活動は4月以降も実施する。
市は被災した全壊家屋について、国の災害等廃棄物処理事業費補助金の対象になることを確認。被災者に対し、早期に解体に関する事業スケジュールを示すほか、全壊以外の建物など市単独の災害廃棄物処理実施に向けた諸調整も行うことにしている。
新政同友会が単独の最多会派に 市議会
大船渡市議会では、1日付で一部会派に所属議員の変更があった。これまで6議員だった光政会(森亨会長)から1議員が抜けて5議員となり、新政同友会(熊谷昭浩会長、6議員)が単独で最多となった。
光政会所属から無会派となった小松龍一議員は2日、東海新報社の取材に「昨年4月の改選時から考えていた。会派の活動にとらわれず動きたい」と話した。
会派構成は▽新政同友会(6議員)▽光政会(5議員)▽清陵会(3議員)▽改革大船渡(2議員)▽日本共産党大船渡市議団(同)▽無会派(同)──となった。