脱炭素アドバイザーに就任 環境コンサル会社社長・粟田さん 経験生かし活性化に貢献を
令和7年4月5日付 3面

日立グループの㈱日立ハイテク元社員で、環境コンサルタント会社ジーナス・インターナショナル㈱(本社・千葉県松戸市)代表取締役CEOの粟田敏宏さん(67)が、陸前高田市脱炭素アドバイザーに就いた。電力営業や再生エネルギー事業開発分野などで30年以上、世界をまたにかけて働いた商社マンの粟田さんに4日、市による脱炭素化計画の展望やアドバイザーとしての抱負を聞いた。(聞き手・高橋 信)
──アドバイザー就任の経緯は。
粟田 令和4年、内閣府のグリーン専門人材として新潟県関川村の脱炭素アドバイザーに就き、村の脱炭素先行地域づくり事業の計画作成や地域新電力会社の設立に携わった。他自治体と横連携を図り、ノウハウを共有しようと動く中で、陸前高田市とのつながりも生まれた。3年間務めた関川村のアドバイザーが昨年度で任期満了となり、この経験を生かしたいと考えていた中で、陸前高田市から声を掛けていただいた。
──まちの印象は。
粟田 昨年、初めて陸前高田市を訪れた。東日本大震災津波伝承館を見学し、まちなかも歩いた。一番印象深いのは、市民の明るさ。被災したにもかかわらず、きびきびと話す姿から、「復旧・復興するんだ」という力強さを感じ、感銘を受けた。
──陸前高田市がまとめた脱炭素化計画をどのように評価するか。
粟田 ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、民間企業が市内ですでに展開しており、順調に進ちょくすると思う。
全国的に不足する電気保安人材の育成・確保も掲げており、非常に素晴らしい。脱炭素のキーワードの一つに、エネルギーの地産地消があり、電気設備の保守メンテナンスを行う人材を域外から調達せず、市内で生もうという発想も同じこと。将来的には市内で養成した人材を市外に派遣するような仕組みが出来上がれば、相当求められると思う。
藻場再生・活用によるJブルークレジット創出の取り組みも先見性があり、応援している。計画の推進母体となる陸前高田しみんエネルギー㈱という地域電力会社があることも、大きな強みだと思う。
──アドバイザーとしてどのように関わるか。
粟田 非常勤の立場で、週に2回あるオンライン会議に出席するほか、月に1度、陸前高田市を訪れ、計画の進ちょく状況を確認しながら、課題解決のお手伝いをするつもりだ。脱炭素先行地域に採択され、事業展開することは、陸前高田が発展していく大きなチャンスであり、このきっかけをうまく生かすため、私も知恵を絞っていきたい。
人口減、少子高齢化という全国共通の流れを変えるのは難しいが、地方には大きな可能性がある。そのためには経済面などさまざまな「自立」が必要であり、エネルギーの自立化は最たるものだ。自給したエネルギーを地域で使い、余りを域外に提供できれば外貨獲得、雇用創出、産業振興につながる。
日立ハイテク入社後、ビジネスを通じて世界中を見てきた。さまざまな経験を地方に還元したい、恩返ししたいという個人的な思いもあり、陸前高田市から貴重なご縁をいただいたと思っている。脱炭素におけるこれまでの経験を踏まえ、市の発展に貢献したい。
粟田敏宏氏(67)
あわた としひろ 昭和55年に日製産業㈱(現・㈱日立ハイテク)に入社。国内外で電力営業や再生エネルギー事業開発に従事し、平成28年に退社。29年、ジーナス・インターナショナル㈱代表取締役に就任。令和4年、内閣府グリーン専門人材として新潟県関川村脱炭素アドバイザーに就いた。慶應義塾大卒。山口県下関市出身。