火災被害額15億円超か 綾里漁協が概算まとめる 定置網、倉庫など焼損
令和7年4月6日付 2面

大船渡市大規模林野火災で被害を受けた三陸町綾里の綾里漁業協同組合(和田豊太郎組合長)は、組合全体の被害額の概算を約15億7000万円と算出した。組合経営を支える定置網は、保管していた倉庫もろとも火に焼かれ、所有する倉庫や漁具を焼失した組合員は47軒にのぼる。例年通りではない新年度のスタートとなった中、同漁協では、各種支援も活用しながら、被災漁業者の生活再建に向けて力を尽くす。
同火災により、同漁協では綾里漁港内にある定置・作業保管施設と、施設内に保管されていた定置網漁具が焼損。定置網漁は12月で操業を終え、網を施設にしまったところを火が襲った。定置網は定期的な清掃、修繕が必要で、漁期には2セットの網をおよそ1カ月ペースで入れ替えて使っており、今回は大入、願松各漁場2カ統分の合わせて4セットが焼けた。
建物は14年前の東日本大震災で被災後、平成26年度末に再建されたもので、施設には網の管理に使用する修復資材やフォークリフトなども保管されており、これらも被害を受けた。網は漁場に合わせて作られた特注品で、同漁協では例年、養殖ワカメのシーズンが終わった5月の連休明けから網起こしを始めるが、今季の見通しは立っていない。
倉庫、漁具等の焼失被害に遭った漁業被害者数は47軒。避難指示解除後にスタートしたワカメ漁では、住家や漁具を失い作業が困難となった漁業者の分を仲間で協力して刈り取るなどの動きがみられた。
夏のウニ、冬のアワビなど、収入となる漁をするための道具を失った漁業者からは、「船は残ったが、漁具を全部そろえるとなると、何百、何千万円とかかる」といった先行きを不安視する声も聞かれる。近年の物価高騰の影響も、再建を目指す人々に重くのしかかる。
火災で被害を受けた赤崎町の市漁協とも連携し、大規模な火災被害からの復旧、復興に向けた支援の要望も行ってきた。今月4日には、江藤拓農林水産大臣が現地入りし、復旧・再建に向けた支援策の方針を示した。
和田組合長(75)は「事業の柱の定置網ができないとなると、組合にとって大きな痛手だ。一刻も早く新たな網を発注したいが、どういった支援が受けられるのかを注視している。乗組員のこともあり、まずは夏網をめどに再開させたい」と語り、「火災で漁業者の生活基盤が揺らぎ、漁業から離れていかないかが心配。再建もそうだが、一番は被災した人に寄り添うこと。先代から継いで海で生きてきた漁業者が、もとの生活に戻れるよう、気を引き締めて計画を立ててやっていく」と力を込める。