市民へ感謝のメッセージ 夢アリーナたかた 宿営の緊急消防援助隊員残す
令和7年4月11日付 7面

大船渡市大規模林野火災での各消防機関の活動期間中、宿営拠点となった陸前高田市高田町の夢アリーナたかたには、施設で寝泊まりした緊急消防援助隊員らから地域住民に向けた多くの感謝のメッセージが寄せられた。「いただいたおにぎりおいしかったです」「お世話になりました」──ホワイトボードや手紙につづられた温かな言葉に、市の関係者らは「助けられたのはこちらなのに、本当にありがたい」と敬意を表している。(阿部仁志)
2月26日に林野火災が発生して以降、夢アリーナたかたは後方支援の拠点となり、青森、秋田、宮城、山形各県の消防隊員らが集まった。ピーク時で約550人が利用し、3月19日までに全部隊が帰隊した。
臨時休館していた施設は、現状復旧作業や設備点検などを経て、今月9日に約1カ月半ぶりに一般の利用を再開。玄関から入ってすぐの場所にあるミーティングルームには、消防隊員らが活動中にメッセージを残したホワイトボードがそのまま残されており、利用者らの目を引いている。
「皆様のサポートのおかげで最大限の活動が出来ました。一日でも早くもとの生活に戻れるよう願っております」(宮城県大崎地域広域消防本部第6次派遣隊)。「あたたかいご支援、ご協力をいただき心より感謝申し上げます。おにぎりはとても美味しくて、活動する元気となりました」(山形県隊第6次隊)──ボード5面を埋める言葉や写真、手書きのイラストが、見た人の心を温める。
活動期間中は、市内の学校が消防隊に向けた感謝のメッセージを寄せたり、地域住民が飲食物を隊員らに届ける場面があった。夢アリーナたかたを管理運営する市体育協会(及川満伸会長)や市の職員ら約20人は、24時間体制で施設に待機し、活動を陰から支えた。
市体協の熊谷一史事務局長(45)は「そうした地域からの励ましの声を受けても、活動中の消防隊の方々は直接をお礼を言えなかった。だから、市民のへのメッセージとして、ホワイトボードに書き残してくれたのだと思う」と、隊員らの気持ちを想像する。
ホワイトボードの横には、地域住民から寄せられた横断幕や寄せ書きが並ぶ。熊谷事務局長は「お互いに〝ありがとう〟を言い合っていて、すごい光景だと思う。隊員の中には、東日本大震災の時も応援で駆けつけたという方もいた。私たち職員も、隊員の皆さんからの気遣いに励まされた」と振り返る。
ホワイトボードは施設の備品のため、イベント等で使われる際にはメッセージを消すが、写真に撮って掲示物に加工し、来場者がいつでも見られるようにする方針という。
熊谷事務局長は「市民の皆さんへのメッセージ。ぜひ見てもらいたい」と呼びかけている。