■東日本大震災14年/茶文化継承へ地道に製茶 米崎茶大学 東京の最高位茶師が継続支援(動画、別写真あり)

▲ 釜で茶葉をいる作業に汗を流す大山さん㊧と村上さん

 陸前高田市の任意団体「米崎茶大学」(村上勝義学長)は、地元の茶葉を使った米崎紅茶や米崎晩茶の生産に取り組んでいる。業界で最高位の茶師十段に認定され、東日本大震災を機に関わり続ける㈲しもきた茶苑大山(東京)代表取締役・大山泰成さん(62)から提案されたのが、活動のきっかけ。産地の北限とされる気仙の茶文化を後世に残そうと、地道に製茶に励んでいる。
 学長の村上さん(48)=小友町=と大山さんは8、9の両日、米崎町の産直はまなすで晩茶作りを行った。同町の農業・吉田凜之介さん(28)が管理する茶畑で刈り取った生葉約10㌔を蒸したあと、大きな釜を使い、高温でいった。
 「うん、良い香りだ」。村上さんが温めた葉の香りを確かめ、うなずいた。その後、専用機で茶葉をしっかりともみ込み、作業を終えた。
 茶葉は、大山さんが東京に持ち帰り、焙煎したあと、ティーバッグ詰めする。6月以降、道の駅高田松原や産直はまなすで販売される。
 都内で日本茶専門店を営む大山さん。国内で約30人しかいないという茶師十段を有し、確かな茶葉の審査・鑑別力を持つ。
 震災発生から7カ月後の平成23年10月、商店街組合の一人として陸前高田市を訪れ、地元の小学校に本をプレゼントした。この訪問を機に関わり始め、本業のスキルを生かして被災地を応援しようと、同市で茶摘みや釜いり体験のイベントなどを実施した。
 活動を通じ、米や野菜を生産する村上さんとのつながりも生まれた。江戸期が起源とされる気仙の茶文化を途絶えさせないよう、茶作りを担う組織の立ち上げを村上さんに持ちかけ、同29年、米崎茶大学ができた。
 大山さんは「茶文化を持続させるには、産業として成り立つことが重要。これからもサポートをしていきたい」と意欲を語った。
 村上さんは「大山さんや茶畑を管理する吉田さん、産直はまなすなど、一人が欠けても今の活動には至っていない。そうしたつながりを踏まえれば目立たずとも製茶を続けねばならない」と決意を新たにした。