数量、金額とも前年度超え 市魚市場6年度水揚げ実績 サンマ、カツオの伸び目立つ
令和7年4月13日付 1面

大船渡市大船渡町の市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)は、令和6年度水揚げ実績をまとめた。数量は前年度比23%増の2万6538㌧、金額(税込み)は同19%増の67億516万円で、数量、金額ともに増加。本州一を誇るサンマや日曜開場のカツオの水揚げが伸びたほか、主力の定置網も前年度から数量増となり、令和3年度から続く2万㌧台を脱するには至らなかったものの、金額は平成29年度以来7年ぶりの67億円を突破した。(菅野弘大)
同社の統計によると、魚種別実績のうち、サンマの数量は前年度比46%増の5675㌧。公海操業における漁解禁が早まり、三陸沖にも漁場が形成されたことで水揚げを重ね、令和2年度以来の5000㌧を突破した。金額は同50%増の27億8944万円で、魚市場全体の4割を占め、数量は10年、金額は13年連続で本州トップを維持。本州数量の4割近くを占める結果となった。
日曜日を中心に受け入れた巻き網、一本釣りのカツオも好調で、数量が同136%増の1634㌧、金額は同106%増の6億2439万円と、大幅に上回った。
マイワシは、昨年12月から今年2月にかけて漁獲が急増し、数量は同22%増の9692㌧となった一方、全国的にも豊漁だったことから金額は同17%減の6億5215万円と伸びなかった。多獲性魚のサバは、数量が同4%減の4140㌧、金額が同4%減の6億1088万円といずれも微減だが、関係者らは近年続く減少傾向に先行きを不安視する。
ブリ類も数量は同4%減の1623㌧だったが、金額は同23%減の4億1411万円と落ち込んだ。
漁業種別にみると、定置網の数量は同13%増の1万2115㌧と上回ったが、イワシやサバの魚体の小型化などもあり、金額は同15%減の18億7965万円と伸び悩んだ。
このほか、いか釣のスルメの水揚げが前年度を上回ったほか、水産動物に分類されるかご漁業のマダコが伸びを見せた。低迷している秋サケは、数量、金額ともに前年度から半減と厳しい状況が続いている。
ピーク時には7万6000㌧もの実績を上げていた大船渡市魚市場だが、東日本大震災が発生した平成23年度は数量3万731㌧、金額も38億円台まで落ち込んだ。水産施設の復旧が進み、26年度は数量が5万2000㌧台、金額が70億円台と震災前の水準にまで回復した。
しかし、27年度以降は主力魚種の不漁に陥り、令和3年度は昭和49年度以来47年ぶりの2万㌧台まで低迷。6年度まで4年連続の2万㌧台となっている。
また、6年度は自然環境や海況の変化が著しく、急潮被害で定置網が壊れ、操業を中止せざるを得ない状況となった漁場があったほか、2月の大規模林野火災の被害を受けた三陸町綾里では、定置網が焼損し、復旧のめどは立っておらず、本年度の水揚げへの影響が懸念される。
同社の佐藤光男専務は「サンマは久々の5000㌧台となり、カツオも日曜日をほぼ休まず受け入れた。金額の伸びは、サンマの水揚げ増加が大きい。一方で、需要の広いサバが減少傾向となっているところが気にかかる」と分析。7年度の見通しについては「急潮や火災で定置網が被害を受けていて、少なくとも影響はあるだろう。本年度はカツオが不漁と言われており、サバの減少も痛い。自然界相手で思うようにいかない分、期待して待つほかない。あとは、〝取りに行く漁業〟でいかに水揚げができるか。本年度も難しい一年になりそうだ」と話している。