■東日本大震災14年/うごく七夕 山車の特別展示復活へ 震災後休止 8月、中心市街地で実施
令和7年4月16日付 1面

陸前高田市高田町の夏の伝統行事「うごく七夕」で運行される山車の特別展示が8月、東日本大震災に伴う休止を経て15年ぶりに復活することとなった。震災前は同月7日の祭り終了後、タピック45(旧道の駅高田松原)に各祭組の山車が集結し、一定期間展示していたが、施設が津波で被災したため、かさ上げした中心市街地に会場を切り替える。展示台数は3台と、かつての4分の1での再開となるが、市制施行70周年を迎え、主要なハード復旧が完了する節目の今年、七夕文化を広くPRする催しで夏を盛り上げる。(高橋 信)

特別展示に向けて協議した実行委関係者ら
高田町の市コミュニティホールで14日夜、うごく七夕を主催する実行委(石川宏委員長)や市関係者14人による会合があり、特別展示に向けて協議した。
展示は大町、鳴石、川原各祭組の計3台。会場は同町の商業施設「アバッセたかた」駐車場を想定し、風よけ用の養生テープを施した格納庫を整備する。
展示期間は震災前と同様のお盆までとし、現段階で8月7日から15日までの方向。展示中、祭組によるお囃子を披露するかなどの詳細は今後検討していく。
大町祭組の組頭・磐井正篤さん(68)は「一番の目的は七夕本番に参加したくてもできなかった地元の人や出身者に山車を見てもらい、祭りの気分を味わってもらうことだと思う。一人でも多くの人に来場してもらいたい」と話した。
盆の先祖供養のため江戸時代に始まったとされ、毎年8月7日に行われているうごく七夕。同町が震災の津波で壊滅的な被害を受けたあとも続け、元気を発信してきた。昨年は9祭組が参加し、祭り当日の夜には市街地にすべての祭組の山車が集まり、周回する新たな試みも行われた。
一方で、山車を旧タピック45に1週間ほど展示し、山車の豪華さを競い合うコンテストや七夕囃子の演奏披露などを繰り広げるイベントは、震災後見送られてきた。
市は市制施行70周年の今年、地域で親しまれたイベントを復活させ観光振興にもつなげようと、実行委に特別展示にかかる補助金の交付を決定。かさ上げ工事を経て生まれ変わった新市街地で催すこととなった。
市商工交流部の村上知幸部長は「市内には気仙町のけんか七夕、矢作町の下矢作灯篭七夕もある。将来的にはこの三大七夕の山車が集まり、当市の大切な七夕を後世に継承し、観光を盛り上げるようなイベントとしたい」と見据える。
石川委員長(73)は「七夕は一大行事だが、各祭組で担い手不足の課題が深刻化している。山車を展示することで『七夕は大事なものだ』と地元の人が再認識する機会になればいいし、観光客に対しては陸前高田のPRにつながればいい」と願いを込める。