無料送迎車の運行開始 高齢者の買い物付き添う「スローショッピング」 市が毎週木曜実施

▲ アバッセたかたに到着し、ボランティアの手を借りながら下車する利用者

 陸前高田市内の高齢者がゆっくりと買い物を満喫できるよう、市民ボランティアが付き添う市のスローショッピング事業。本年度から自宅と買い物先の商業施設「アバッセたかた」間を無料送迎する専用車の運行を始めた。移動手段がないため利用できない人向けに導入した新サービス。移動の足を確保し、閉じこもりがちな高齢者の外出を後押ししていく。(高橋 信)

 

 スローショッピングは、毎週木曜日に実施。17日は、高田町の県営栃ケ沢アパートに住む女性4人が利用し、市担当者が同乗したワンボックスカーでアバッセたかたに向かった。
 到着すると「パートナー」と呼ぶ見守りボランティアに付き添われながら、施設内のスーパーマーケットなどで買い物した。その後は休憩場所に集まり、会話しながら手芸をするなど思い思いの時間を過ごした。
 利用した近藤乃子さん(90)は「一人でできることは可能な限りしているが、移動手段がなくて、どこにも出かけられない。車で送迎してくれるのは大変ありがたい。また利用しようと思う」と笑顔で買い物カートを押して歩いた。
 市は高齢者や障害者を含め、誰もが個性を認め、支え合って暮らす「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」を展開している。
 スローショッピングは、同まちづくりの理念に基づく事業として令和3年度に始まった。市内の認知症サポーターらでつくる「チームオレンジたかた」が運営をサポートしている。
 市地域包括支援センター認知症地域支援推進員の佐藤咲恵さん(66)は「外に出て、買い物することは心の栄養になる。車両運行は新たな試みであり、やりながらより良い運行のあり方を検討したい」と話す。
 スローショッピングは毎週木曜日午後1~3時、アバッセたかたで実施。予約不要で、実施時間中に専門店街パブリックスペースに開設する「くつろぎサロン」を訪れればパートナーが付き添う。保健師や看護師が認知症、介護の相談にも応じる。
 無料送迎の利用は、事前申し込みが必要。毎回、実施日の2日前まで受け付ける。
 問い合わせ、申し込みは同センター(℡54・2111内線215)へ。