延焼範囲3370㌶で確定 大規模林野火災 28日めどに公費解体着手
令和7年4月18日付 1面

大船渡市は17日、市大規模林野火災の延焼範囲を約3370㌶で確定させたことを明らかにした。これまで「焼損面積2900㌶」としてきたが、大船渡地区消防組合や総務省消防庁の現地調査などから面積を算定し、さらに火災の影響を大きく受けていない地域が混在する状況も考慮して、表現を焼損面積から延焼範囲へと見直した。また、被災家屋の公費解体について、28日(月)をめどに現地立ち会いなどに入る見通しも示した。
大規模林野火災では、一定のエリアで焼失・焼損がある半面、火災の影響を受けていない地域が混在している。市では「焼失・焼損した面積を明確に算定することは困難であり、火の手が及んだ範囲として、延焼範囲という表現がより適切と考えた」と説明する。
焼損面積はこれまで、県防災航空隊の調査で焼失が顕著な部分を把握。これに、鎮火確認前後に行った焼け残りの確認など地上調査を反映させた。
「焼損面積2900㌶」の発表時よりも拡大した延焼エリアは、三陸町綾里では砂子浜集落周辺や綾里埼の周辺。赤崎町は、後ノ入、永浜両地域方面の山林などで延焼が確認された。
建物の被害頭数は、罹災証明書の申請などから、新たに野々前地域の住家1棟で一部損壊が確認され、住家は87棟(全壊54棟)、住家以外135棟(同121棟)で計222棟となった。
半壊以上の被災家屋などに関しては、公費解体を実施。これまでに、71件計115棟の申請が寄せられた。
28日をめどに、所有者と市、業者による現地調査が始まる。作業は申請順ではなく、周辺環境や作業条件などを考慮。原則、市が判断した順番で作業を進める。公費解体の申請は5月16日(金)まで受け付ける。
住家が被災し、仮設住宅の入居対象となっている61世帯を対象に、市は入居希望の意向調査を実施。3月25日時点での第1希望は▽公営住宅21世帯(35%)▽民間賃貸アパート等のみなし仮設14世帯(23%)▽建設型24世帯(39%)▽その他(修繕して入居)2世帯(3%)──となった。
公営住宅は今月8日まで入居申請を受け付けたところ、12戸に21世帯の申し込みがあった。抽選などで希望の部屋から外れた世帯は、申し込みがなかった公営住宅への2次申請や、建設型への申し込みなどを受け付ける。みなし仮設は、9世帯で利用が始まった。
建設型は旧綾里中グラウンドに30戸、旧蛸ノ浦小同に10戸を計画。11日時点の申請集計では、旧綾里中が11世帯、旧蛸ノ浦小が7世帯。世帯によっては家族が多く、複数戸の利用も想定しているが、公営住宅希望などからの変更を含めても、当初計画数で間に合う見通しとなっている。
建設型は、5月上旬の完成を目指して整備が進む。市は各応急仮住宅への入居後、改めて住宅再建に関する意向調査を実施し、被災世帯ごとに再建に向けた支援を行うことにしている。
また、市は火災発生直後から物資集積拠点となっている盛町の市民体育館アリーナについて「公共施設等への移送後、4月末から貸し出し再開予定」との見通しを示す。