大船渡市大規模林野火災の産業被害額── 水産中心に16億円超 養殖アワビ、農林商工など調査続く
令和7年4月20日付 2面

大船渡市は、大規模林野火災における今月15日時点の被害状況をまとめ、産業分野での被害額が16億円を超えたことを明らかにした。綾里漁協の水産業共同利用施設や定置網が多額に上り、大船渡市漁協も含めた組合員個人の被害額も計5億円を超える。養殖アワビや農林業、商工・観光業などでは調査が続いており、被害額はさらに増える見込みだ。
水産業の建物・設備被害額は、再取得した場合の金額をもとにした概算額として算定。綾里漁協の水産業共同利用施設における被害額は4億2494万円。倉庫内で保管していた定置網4セット(2カ統)分の焼失被害額は7億円に上る。
共同利用施設の内訳は▽作業保管施設(定置漁業用倉庫)1棟全焼4億412万円▽水産業荷さばき施設(ウニ荷さばき施設)貯水槽や配管焼損1962万円▽ふ化場倉庫1棟全焼120万円──となっている。
大船渡市と綾里各漁協の計63組合員は、倉庫や漁具などの焼失被害を受けた。被害額は5億180万円とみている。
一方、綾里の石浜地域で養殖アワビ事業を展開する元正榮北日本水産㈱は、育てていた約250万個のアワビが停電などにより斃死し、給水設備や資材置き場にも火の手が及んだ。被害額は「調査中」となっており、水産業全体の被害額は16億円を大きく超える見通しだ。
農林業関係では、避難指示に伴い、1事業者が管理していた養鶏1925羽が死亡し、被害額は106万円。さらに農家16戸で倉庫が焼損しており、市は被害額の把握を進めている。
また、綾里地区内では菌床しいたけ栽培施設2棟が全焼したほか、このうち1棟の栽培用培地8000個が焼損。さらに気仙地方森林組合の林業機械4台が全焼しており、いずれも被害額は確定していない。
商工・観光業分野では建物や設備・機械、在庫廃棄といった直接的な被害は19事業者、予約キャンセルや避難指示に伴う間接的な被害は42事業者で把握しているが、被害額は「調査中」とする。
テレビ共聴施設のうち、綾里地区や赤崎町長崎地域の計7施設でケーブルなどの損傷があった。三陸鉄道施設の被害は95万円、避難指示による運転見合わせ対応として行った代行バス運行費は316万円となっている。