子育て・若者支援へ新事業「医療的ケア児在宅レスパイト」「若者交流促進支援」 高校生のまちづくり活動も後押し

▲ 昨年7月にこども家庭センターを開設した大船渡市。本年度も子育て・若者支援で新事業を行う

 子育てや若者支援の充実を図る大船渡市は本年度、新たに医療的ケア児在宅レスパイト事業と、若者交流促進支援事業を進める。住田町の仕組みと同様に医療的ケア児を育てる家族の心身負担軽減を図り、若者交流促進事業では高校生のまちづくり活動も支援しながら地元で交流しやすい環境づくりを目指す。4月から始まった第1子の保育料完全無償化に加え、昨年設けたこども家庭センター施設での取り組みも連動させながら、「こどもまんなか」のさらなる推進を見据える。(佐藤 壮)

 

 レスパイト事業は、人工呼吸器での管理や経管栄養など、恒常的なケアが欠かせない子どもを見守る家族の支援が目的。仕事や家事・育児にも追われる中、小休止(レスパイト)の利用機会を財政面で確保することで、家族全員の健康保持などにつなげる。
 市が委託した訪問看護ステーションの看護師が家族に代わって、見守りを行う。利用対象は▽市内に居住し、市に住民登録がある▽在宅で同居の家族による看護や介護を受けて生活している▽医師の訪問看護指示書により医療的ケアを必要としている▽医療保険制度の訪問看護で医療的ケアを受けている──に全て該当する子どもの家族となる。
 きょうだいをはじめ家族の体調不良で世話ができなかったり、家の用事や学校行事等で外出しなければならない場合を想定。1日1回とし、1回の利用時間は1~8時間の30分単位で選択できる。四半期ごとに24時間までとし、年間で最大96時間分を無料で利用できる。
 市内でのケースをみると、医師の「1日当たり60分を週2回受ける」といった指示に基づく訪問看護には医療費助成が適用されるが、追加の訪問看護利用は自己負担が発生していた。新たな市の制度を生かし、より長時間の利用にも財政支援が受けられることになる。
 市は本年度一般会計予算に、2人分として154万円を計上。すでに1人の契約に向けた手続きが進み、申請数が増えれば、補正措置を検討する。令和6年度末で住田、矢巾、紫波の各町が実施しているが、県内14市の中では、同市が初となる。
 若者交流促進支援事業は、市内に店舗などを置く事業者か、市内に住所がある5人以上で構成する市内団体が対象。少子化や人口減少が続く中で、仲間づくりを進める〝友活〟充実の後押しを見据える。
 市内で参加者10人以上の事業を企画し、参加者募集などを告知しながら若者同士の交流を広げる取り組みに補助する。人件費や食料費など対象経費の5分の4を補助し、上限は20万円。
 飲食店や社会人団体、同じ趣味を持つグループの各イベントに加え、高校生が行うまちづくり活動も想定。近年、ビジネスプランコンテストでは市内高校生の参加が目立つほか、校外での地域課題解決に向けた取り組みも積極的に行われている。昨年7月にこども家庭センターが開設し、母子が集う場を生かして交流イベントを開催する動きも見られる。
 市は昨年9月に「こどもまんなか応援サポーター」として、子育てにやさしいまちの実現に向けた取り組みの推進を宣言し、こども家庭センターを拠点とした「子育て応援」に力を入れている。本年度は、第1子の3歳児未満にかかる保育料・こども園使用料を市が独自支援することで、市長公約の一つでもある完全無償化を実現させるなど、新事業が目立つ。
 同センターの伊勢徳雄所長は「レスパイト事業は、センターが開設されてより細かなニーズを拾っていこうとしている中で、現場の声として上がってきたもの。対象数は多くないが、必要とされる支援に手を差し伸べたい。若者交流促進支援事業は高校生をはじめとした取り組みを盛り上げ、小さい規模でも後押しすることで『地元でもできることがある』という意識の醸成につなげたい」と、両事業の狙いを語る。
 問い合わせ、相談は同センター(℡47・5200)で受け付ける。