脱炭素推進へ4者協定 市と新潟県関川村、新電力会社2社 ノウハウ共有し施策に反映
令和7年4月23日付 1面

陸前高田市と新潟県関川村、両市町の地域新電力会社2社の計4者は、脱炭素推進に向けた連携協定を締結した。両自治体は環境省の脱炭素先行地域に選定されており、脱炭素の推進母体となる地元の電力会社とともにノウハウを共有し、施策への反映を構想する。再生可能エネルギーで生み出した電力を融通し合う方策も検討する。
協定を結んだのは、両自治体のほか、陸前高田しみんエネルギー㈱(小出浩平代表取締役)、せきかわふるさとエネルギー㈱(代表取締役社長・加藤弘村長)。締結式は21日に関川村役場で行われ、陸前高田市からは佐々木拓市長や小出代表取締役らが出席した。
主な連携内容は、▽ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に関する技術連携、知見共有▽小型風力発電、地熱バイナリー発電、小水力発電、木質バイオマス事業の知見共有、普及方法の検討▽地域マイクログリッド計画の立案、運営方法、コスト低減に関する知見共有▽再エネの地域間融通の検討──。
同村では、村中心部に蓄電設備や太陽光発電設備を設置し、災害時に電力会社からの電気が途絶えても地域内の電力を供給する送配電システム「地域マイクログリッド」の構築事業に取り組んでいる。同市でも今後、横田地区で同様のシステムを取り入れる計画で、同村の事業を参考とする。
一方、同市はブドウの栽培ポットの上に太陽光パネルを置き、農業と発電を同時に行う「ソーラーシェアリング」の技術などを伝える。再エネ電力が不足した場合に、地域電力会社を通じて電力を融通する連携も模索する。
脱炭素先行地域は、二酸化炭素(CO2)排出削減を全国の他自治体などに先駆けて進める地域を指す。環境省は本年度末までに、少なくとも100カ所を選定することとしており、関川村は令和4年、陸前高田市は昨年選ばれた。
同市は本年度から、ソーラーシェアリングの拡大、地域マイクログリッド導入のほか、電気保安人材の育成・確保、メタン発酵バイオガス発電設備や小水力発電設備の整備などに乗り出す。自家消費型太陽光発電設備の設置にかかる補助制度も大幅に拡充する。