2年連続で過去最高 大船渡港のコンテナ貨物取扱量6年度実績 輸入・移入・輸出好調で6430TEU

 令和6年度における大船渡港コンテナ貨物取扱量(全量、空コンテナ含む)は、前年度比21・2%増の6430TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)で、2年連続で過去最高を更新した。住宅建材など輸入利用が堅調に推移したほか、代替燃料となる廃プラスチックの移入が倍増。輸出では県産原木が伸び、新たな取り引きの開拓も見られた。依然として輸出・移入の空コンテナが多いという課題を抱えるものの、関係者は本年度のさらなる拡大に向けて意欲を見せる。(佐藤 壮)

 

大船渡港の野々田埠頭を拠点に展開されているコンテナ貨物事業

 全量の貨物取扱量は令和に入り3000TEU台で推移していたが、5年度に5000TEUを超え、6年度は6000TEUを突破。荷物が入っている状態の実入りも前年度比で25%増の4178TEUとなった。輸出入に加え、国内流通の移出入でも大きく伸びた。
 輸入は前年度比17%増。すべて実入りで、これまでも主力となっているフィリピンからの建設部材の輸入利用が2446TEUで、前年度比27%増となった。一方、牧草は18TEUと前年度の約1割にとどまった。
 千葉県市原市からの移入は、廃プラスチックが805TEUで、前年度の2倍に達した。再生可能資源として太平洋セメント㈱大船渡工場に搬送している。移出はすべて空コンテナだった。
 輸出のうち、実入りはフィリピンに仕向ける輸送用容器が462TEU(前年度比43%増)で最多。中国に仕向ける県産原木が166TEU(同3・7倍増)と大きく伸びた。前年度になかった欧州に仕向ける除雪機や、ベトナムへのレンズなど、新規開拓の成果も浮かび上がる。
 輸出の空コンテナは1503TEU(同2%減)で、全体の6割強を占めている。東北地方からのコンテナ貨物のうち、かなりの割合が京浜港から輸出されている中、依然として、移出も含めた大船渡港から〝出す荷物〟の確保が求められている。
 市側は、前年度から全体実績が伸びた要因として、市や関係機関の代表に加え、昨年1月から大船渡港物流強化促進協議会で委嘱している物流強化支援アドバイザーらが一丸となってポートセールスに取り組んだ成果を挙げる。既存の荷主との信頼関係をさらに強めるだけでなく、6年度は新型コロナウイルスの影響が収束した中、全国各地に出向いてのアピールやセミナー開催が目立った。
 輸送に必要なハーバークレーンやリーチスタッカーの管理運営などを担う大船渡国際港湾ターミナル協同組合の細川廣行理事長は、「ポートセールスを一生懸命行ってきた結果。輸出も新たな貨物の糸口が見えてきている。さらに増やしたい」と今後を見据える。
 大船渡港では平成19年度、韓国・釜山港との国際貿易コンテナ定期航路が開設された。23年の震災で休止し、25年9月から外貿船が多数寄港する関東主要港を結ぶ国際フィーダーコンテナ定期航路の運航が始まった。
 現在は、オーシャンネットワークエクスプレス㈱が鈴与海運㈱と提携して運航。内航航路は「京浜港─仙台塩釜港─大船渡港─京浜港」で、大船渡港には週末に寄港し、京浜港で外航船に積み替え、各国に運ばれる。荷物を運びやすい地理的な要因に加え、気候面に左右されにくく、寄港スケジュールが安定していることも好まれているとされる。
 年度ごとの実績は別掲。