人口減社会に対応を 大船渡・住田定住自立圏案 第2期も連携・協力へ

▲ 第2期でも観光振興などで連携を図る方針(昨年度台湾で実施した取り組みの様子)

 大船渡市と住田町は、本年度から5年間を期間とする第2期大船渡・住田定住自立圏共生ビジョン案をまとめた。両市町とも人口減少が進む中、両市町の連携を強化し、持続可能な地域づくりを見据える内容。第1期に続き生活機能や結びつき・ネットワークの強化、圏域マネジメント能力の各強化を図り、観光面などで足並みをそろえた取り組みを進める。
 定住自立圏は、一定の要件を満たした市(中心市)と近隣市町村が連携、協力し、必要な生活機能等を確保することで地域における定住の受け皿となるもの。大船渡市と住田町は、同市が生活機能の確保で中心的な役割を担う中心市となり、令和元年に定住自立圏形成協定を結んだ。
 共生ビジョンは、同協定に基づいて圏域全体の将来像や推進策についてまとめ、第1期は2~6年度の5年間。協定で規定した▽生活機能の強化▽結びつきやネットワークの強化▽圏域マネジメント能力の強化──の各視点から、医療、福祉、教育、産業振興、地域公共交通、地域内外の住民との交流・移住促進、圏域内市町の職員の交流などと各分野の事業を位置付け、計28の取り組みを盛り込んだ。
 7~11年度を期間とする第2期は視点の構成を変えず、計26の取り組みにまとめた。新規に追加したのは「入札参加資格申請受付システム共同運用事業」。デジタル技術を生かし、ネットワーク上で管理して事務手続きの効率化を図る。
 また、第1期にあった「図書資料の相互貸借サービス事業」は「公共図書館等相互利用促進事業」に変更。これまで実施している大船渡市立図書館と住田町中央公民館図書室の相互貸借にとどまらず、各施設で開催するイベントなどの情報周知について相互利用を図る。
 ILC(国際リニアコライダー)誘致促進事業では、第1期に盛り込んだグリーンILCのみならず、関連するイベントや講座、各種会議などの情報を相互に共有し、参画・住民周知を行う。
 一方で▽遊休農地活用▽地球温暖化防止対策推進▽気軽な出会いの場創出──は、いずれも登載を見送る。遊休農地は現段階で連携が見通せず、地球温暖化防止は両市町が個別に実施。気軽な出会いの場は、行政が担う結婚支援のあり方自体を見直すことにしている。
 産業振興のうち、継続の外国人観光客誘客促進事業では、台湾からの来訪者をはじめとした外国人観光客向けのツアー造成や受け入れ体制の整備を図る。第1期中も大船渡、住田両市町の観光関係事業者が台湾に出向き、観光イベントへの参加や、旅行代理店に出向いてのアピールを行った。
 令和5年の両市町における外国人観光客入込数は1530人だが、11年には4790人を目指す。目標値は、外国人観光客が近年増加傾向にある中、2月に開催した定住自立圏共生ビジョン懇談会における委員意見を踏まえ、懇談会で示した案の3250人から上方修正した。
 圏域としての人口減は加速傾向にあり、令和2年の第1期策定時から昨年10月までに大船渡市は10・3%、住田町は13・3%それぞれ減少。第2期では、これまで以上に定住自立圏のスケールメリットを生かし、両市町で連携・協力しての取り組みが求められる。
 第2期案は、23日に開かれた大船渡市議会全員協議会で示された。近く策定、公表を予定している。