地元事業者ら影響懸念 5月4日の三陸花火開催見送りで ホテル予約キャンセル、関連イベント中止の動きも
令和7年4月25日付 7面

陸前高田市の高田松原運動公園で5月4日(日)に予定されていた三陸花火大会(実行委主催)の開催見送りが決まり、関係者が影響の広がりを懸念している。ホテルでは予約キャンセルが相次ぎ、三陸花火に合わせて企画されたイベントを中止する動きも出ている。「非常に残念」「突然言われ、憤りを感じる」。大勢の観光客でまちがにぎわう書き入れ時を見越して準備していた地元事業者からは嘆息が漏れる。(高橋 信)

花火大会の開催見送りに伴い、中止が決まったまちなかHANABIフェスティバル(昨年4月)
実行委(浅間勝洋委員長)による開催見送りの発表から一夜明けた24日、高田町のキャピタルホテル1000㈱(松田修一社長)では前日に続き、宿泊予約客への連絡に追われた。
大会当日は全40室が予約で埋まっていたが、約8割がキャンセルとなった。残りの宿泊客には料金を平日並みの水準に引き下げて案内する方針で、客数減に伴い、食材の仕入れ量も調整している。
松田社長は「一年の中でも楽しいイベントとして市民に定着しており、同時に市外から人を呼び込み、経済活性化につながっていたので、残念に思う。陸前高田のイメージダウンにつながらないよう、花火を楽しみにしていたお客さまに丁寧に対応したい」と語った。
中心市街地で花火大会に合わせて企画されたイベントにも影響が生じている。
陸前高田商工会青年部(覚張あゆみ部長)は5月4日、同町のアバッセたかた駐車場で催す予定だった飲食イベント「まちなかHANABIフェスティバル」の中止を決めた。
出店数は気仙地区内外の約70店舗で、22日に出店者説明会を開いたばかりだった。花火観覧会場の高田松原運動公園の飲食ブース出店権をかけ、三陸産食材を使った品の味を競うコンテストを行うなど、三陸花火と連動した企画も手掛けていることなどから開催を断念した。
覚張部長(40)は「突然、見送りと言われ、『もっと早く教えてもらうことはできなかったのか』と、戸惑いと同時に憤りを感じている。山林火災が起きた大船渡市内の事業者からも出店申し込みがあり、売り上げを通じて応援する機会にもつながると思っていた。本当に残念」と話した。
地元事業者でつくる高田まちなか会にぎわい委員会(橋詰真司委員長)は、5月4、5(月・祝)の2日間、同町のまちなか広場周辺で「こどもまつり」を予定通り開催する。
「子どもたちに楽しんでもらう場を」と初企画したイベント。2日目が『こどもの日』に当たることを考慮し、実施することとした。
橋詰委員長(49)は「三陸花火大会がこのまちにもたらす経済効果はとても大きなもの。中止決定は非常に残念だが、実行委がそのように判断したのであれば仕方がないし、後戻りもできない。当日は親子連れなどに来てもらい、少しでもにぎわいを呼び込めたらいい」と前を向く。