着工~完了は数週間程度で 大規模林野火災「公費解体」立ち会い開始 5月中旬以降の作業本格化見据え

▲ 解体に向けた「現地立ち会い」が行われた三陸町綾里地区

 大船渡市大規模林野火災で被災した建物の「公費解体」に向けた現地立ち会いが28日、三陸町綾里と赤崎町で始まった。市と業者、建物所有者らが境界や撤去する部材などを確認。重機を伴う解体・撤去は5月中旬以降に本格化し、1区画当たりの着工から現地作業完了までの期間は数週間程度を見込む。がれきの仮置き場は市内に設け、分別を進めながら市内外で処理し、全体の事業完了は12月末を見据える。(佐藤 壮)

 

 現地の立ち会いは、被災者のプライバシー保護や安全確保の観点から、非公開で行われた。市によると、この日は綾里港、赤崎町外口の両地域で計23件実施。今後も平日に順次予定している。
 申請は今月12日にスタート。24日までに105件の申請があり、解体・撤去作業は申請受付順ではなく、周辺環境への影響や作業条件等を考慮しながら効率的に実施する。
 公費解体は所有者の希望に応じて行うもので、生活環境保全や二次災害の防止などが目的。全壊に関しては国の災害等廃棄物処理事業補助金を活用し、半壊家屋などに関しては市の独自支援策として行う。
 大規模林野火災に伴う罹災証明書などに基づく全壊は175棟で、全壊以外は47棟。申請は約200棟に上るとみられる。
 家財道具や家電のうち、災害で損傷するなどして不要なものとして処分せざるを得ないものは、公費解体と合わせて市が撤去・処分する。被災で機能しない浄化槽・便槽も、公費解体で被災家屋等と一体的に解体・撤去でき、その場合のくみ取り・清掃・消毒は市が行う。
 審査を経て、事業に該当するかどうかを通知。業者への発注も市が行う。申請者や市による立ち会いを経て、解体やコンクリートの基礎を含めた撤去に入る。
 被災者からは、現地での住宅再建に加え、漁業関連の倉庫やテントの仮置きに向け、早急な実施を望む声が聞かれる。場所によっては作業道の確保を検討するといったケースも考えられるが、重機が入った段階から数週間で作業を終え、再び所有者らが入っての立ち会いを経て、事業完了通知を市が交付。これにより、敷地内での住宅再建や倉庫整備など〝次の段階〟への移行が可能となる。
 がれき処理を含めた全体の事業完了は年内を見据えるが、市は被災現場での作業には「(撤去まで)それほど期間はかからない」とみる。一方で、空き家をはじめ市側で所有者の確認が必要なケースなど、一部で期間を要することが想定されるという。
 解体・撤去に伴う、がれきの仮置き場は市内に確保する。廃木材や可燃物、金属系、コンクリートがらのほか、一般的な建物解体とは異なり、燃焼による混合廃棄物も想定。市内外の施設でそれぞれ処理し、分別物によってはリサイクルにも回すことにしている。
 市市民環境課の鈴木康代課長は「公費解体は復旧・復興や公費解体に向けた第一歩。現地の立ち会いは、被災された方々も待っていたと思う。作業には地元事業所を積極的に活用したい」と話す。
 申請は5月16日(金)まで受け付ける。書類の提出で、記載方法や相続、抵当権等の権利関係、被災家屋等の解体方法などを相談したい場合は、事前の電話予約(同課環境衛生係、℡27・3111内線126)を求める。自費解体も可能だが、事前の問い合わせを呼びかける。