気仙船匠会 27日に解散式 全国屈指の建造実績誇る船大工グループ 高齢化などを受け活動に区切り
令和7年5月1日付 7面
平成2年以降、「気仙丸」をはじめ木造千石船の建造委託を受けてきた船大工グループ・気仙船匠会の「解散式」が、27日(火)に開催されることになった。改めて同会の功績を振り返り、「気仙丸」を所有する大船渡商工会議所から感謝状贈呈などが行われる。発足当時から会長を務める新沼留之進氏が昨年6月に死去し、会員の高齢化で活動が制限されていた状況などを受け、一つの区切りを迎える。(佐藤 壮)
解散式の概要案は、4月28日に開かれた令和7年度千石船「気仙丸」利活用推進協議会臨時会・ワーキンググループ合同会議で示され、原案通り了承された。同協議会は令和4年1月に発足。商議所や市、市観光物産協会、気仙船匠会、大船渡ドック、キャッセン大船渡で構成し、陸上展示されている「気仙丸」を生かした大船渡駅周辺地区のにぎわい創出などにつながる活用策を探る活動を展開している。
式は、27日正午から大船渡商議所研修室で開催。代表者あいさつに続き、気仙船匠会の歩みを紹介する映像を視聴し、商議所から同会への感謝状贈呈を行う。引き続き、会場を移し、千石船「気仙丸」利活用推進協議会による「ご苦労さん会」も予定している。
平成2年10月、同4年に釜石を主会場として開かれた三陸・海の博覧会に藩政時代の海運船「千石船」を復元建造して出展しようと、大船渡商工会議所と陸前高田・三陸両商工会、大船渡・陸前高田両青年会議所の5団体が千石船建造推進協議会を立ち上げた。気仙船匠会は、この千石船の建造委託を受けた船大工グループとして、故・新沼会長の下で発足した。
当時は大船渡市と旧三陸町、陸前高田市、住田町の12人でスタート。「気仙丸」は3年12月10日に完成を迎え、同博覧会では最高賞に当たるジャパンエキスポ大賞に選ばれた。
その後も、新潟県の「白山丸」、大阪府の「浪華丸」、青森県の「みちのく丸」の建造に携わり、全国屈指の木造和船建造技術を誇る気仙の船大工集団として、広く認知されてきた。
気仙丸は長さ18・70㍍、幅5・75㍍、高さ5㍍。帆柱の高さは17㍍。赤崎町の蛸ノ浦漁港で係留され、14年前の東日本大震災時は流失、大規模損壊を免れた。
老朽化が進み、気仙大工の技術や歴史継承を見据え、令和2年8月に湾内から陸上に引き上げられた。液体ガラス塗装を施したほか、気仙船匠会のメンバーらも作業にあたり、傷みが進んだ部分を新調。3年10月から、おおふなぽーと付近での展示が本格化した。
利活用推進協では昨年度、視察受け入れ事業を展開し、県内外から約150人余が船内などを見学。客船寄港に合わせたPRや、千石船で流通したアワビ、ナマコ、フカヒレの各乾燥食材が「俵物三品」として重宝された歴史を生かしたセミナーも企画した。
陸上展示から4年目に入り、塗装のはがれや部材の腐食などが散見されるようになった。船体の持続に向け、雨水を船内に入れない対策に迫られているという。同協議会では本年度、クラウドファンディングも活用して資金を確保しながら、修繕を進めることにしている。






