暗算、珠算両十段を達成 7度目の挑戦で合格 盛珠算クラブの伊藤さん(大船渡高1年)

▲ 全珠連の珠算十段合格に笑顔を見せる伊藤さん

 大船渡市の盛珠算クラブに所属する伊藤心優さん(大船渡高1年)が、中学3年時に受験した全国珠算教育連盟主催の第426回珠算検定試験で、最高位の十段に合格した。中学2年生だった令和5年に暗算十段に合格し、その後も努力を続け「中学生のうちに暗算、珠算で十段を」という目標を見事達成。高校生となり「さらに意欲が高まった」と前向きな姿勢を見せ、次なる目標達成に向けて学習に精を出している。
 5歳で同クラブに入門し、現在は大船渡町字笹崎の大船渡そろばん教室で学習に励む伊藤さん。学校生活を送りながら、地道に毎日勉強を続け、試験や競技会でも結果を残してきた。
 全珠連の暗算、珠算検定においては、小学6年生で両九段に合格。大船渡一中1年時から両十段の試験に挑戦しており、暗算は同2年時の令和5年9月の検定で最高位に到達した。
 珠算の十段は、必須科目の掛け算、割り算、見取り算各30問に加え、選択科目の伝票算、暗算、応用計算、開法(ルート計算)各30問を解く。1問10点の1科目300点満点で、選択科目は成績の良い上位3科目が得点として採用される。
 今回の試験は、中学校を卒業した3月下旬に、盛岡市の都南会場で受験。計算の速さと正確性に加え、書く数字の見やすさも厳しくチェックされるほか、暗算十段より問題数も多い超難関とされる中、自身7度目の挑戦でついに努力を結実させた。
 成績は必須の掛け算、選択の暗算、開法が満点、そのほかの科目も1、2問のミスにとどめ、合格基準をクリアした。「これまでは合格まであと1問というところでの不合格が続いていて、全ての問題に丁寧さを求めて練習してきた。やっと合格できてうれしい」と笑顔を見せ、「目標としてきた結果が出せて、先生に少しは恩返しができたかな」と語る。同教室で伊藤さんを約10年間指導してきた新沼正憲さん(77)も「非常に良い成績での合格だ」とともに喜ぶ。
 高校進学後も週2回、同教室に通うほか、自宅では新沼さんが用意した問題を毎日解く生活を続ける。新沼さんも、伊藤さんから送られてくる答案の採点を日課としており、試験前には必ず励ましの言葉をかけるなど、技術、精神の両面から成長を支える。「(伊藤さんは)絶対に手を抜かない姿勢が素晴らしい。私もその頑張りに応えたい」とサポートを誓う。
 次の目標に「日本珠算連盟の暗算、珠算両十段への合格」と「読み上げ算での日本一」の二つを掲げる伊藤さん。「合格は先生のおかげ。高校生になり『学校の勉強もそろばんも頑張ろう』と意欲が高まっている」と話し、今後のさらなる成長に期待がかかる。(菅野弘大)