牛乳のおいしさ感じて 地元酪農家製造のジェラート イーガストすみたで販売開始
令和7年5月7日付 7面

住田町世田米のイーガストすみたで、同町の酪農業・泉田畜産が製造するジェラートの販売が始まった。愛情込めて育てた牛から搾った生乳を原料とする商品は、濃厚かつすっきりとした後味が特徴。泉田畜産を営む泉田大さん(44)は「住田の名物の一つになれば。将来的にはチーズも作るなどして、酪農を次世代へつなげたい」と、牛乳の未来に期待を込める。(清水辰彦)
泉田畜産では現在、乳牛は20頭ほどを手がけており、年間約180㌧を生産している。
ジェラートの製造は、生乳の6次産業化への第一歩だ。気仙管内の酪農家は減少傾向にあり、近年は物価高騰により、餌や資材価格も上昇しており、酪農家も厳しい状況にある。
そうした中、泉田さんは、持続的な経営のためには「もう一つの柱」が必要と考えた。昨年、ジェラートの商品化に着手し、独学で勉強。試行錯誤を重ね、イーガストを運営する㈲ありす畜産の協力により同店内に設備が整えられた。
「餌から何から工夫して、おいしい牛乳を作ってきた」と自負する泉田さん。そのおいしさを詰め込んだジェラートは、濃厚とあっさりの2種類の「ミルク」、「イチゴ」「抹茶」の計4種類を販売中。価格はシングルが350円、ダブルが450円。イチゴも住田町産を使用している。屋号は、ドイツ語圏であるスイスで研修を積んだ泉田さんが、「牛を愛する」を意味するドイツ語「リーベン・キューエ」と名付けた。
「みんなにおいしいと言ってもらっているが、自分ではまだ納得していない。もっとおいしくしたい」と、さらなる磨き上げを目指す泉田さん。本業との兼ね合いもあり、種類はそこまで多くできないが、「味で勝負していく」と力を込める。町内の他の飲食店との連携も視野に入れ、「酪農が持続可能な仕事になっていけば」と展望も語る。