降雨下も水揚げに活気 4連休明けの市魚市場 3年ぶりにコウナゴも並ぶ(別写真あり)
令和7年5月8日付 1面

大船渡市魚市場は7日、ゴールデンウイークの4連休明けの開場となり、定置網船などの水揚げがあった。前日から降り続いた雨で数量は少なかったが、100㌔超えのクロマグロや約3年ぶりに市場に並んだコウナゴなどで場内が活気づいた。自然の環境変化や大規模林野火災による漁業への影響も懸念される中、関係者らは前年度を上回る今後の好漁に期待を込める。(菅野弘大)

大船渡では約3年ぶりに市場に並んだコウナゴ
同魚市場は今月、大型連休中の3〜6日を完全休業とした。営業を再開した7日朝はあいにくの雨模様となったが、陸送を中心とした気仙沿岸の定置網船をはじめ、はえ縄漁船や火光利用敷網漁で水揚げされた魚が場内に並んだ。
先月から定置網などでまとまった水揚げがあるクロマグロは、はえ縄で漁獲された148~114㌔の計18本が揚がり、入札の結果、1㌔当たり4680~2310円で取引された。買い受け人らが黒光りする大きな魚体を囲み、写真を撮ったり、肉質などを確かめる様子が見られた。
場内ではこのほか、宮古市や山田町の漁船が漁獲したコウナゴが注目を集めた。
コウナゴは主に東北、関東、東海地方などでのイカナゴの仔稚魚の呼び名で「春を告げる魚」とされる。鮮度が良いものは刺身で食べたり、生産者が加工しての釜揚げや吸い物の具材としても重宝されている。成長したものは冷凍保存して餌にするなど、利活用の幅が広い。
同魚市場にも数量は多くないものの、昔から水揚げがあったが、近年は全国的に不漁が続いており、大船渡では令和4年度を最後に水揚げが途絶えていた。コウナゴが入った発泡スチロールを開けて中身を確認した買い受け人からは「久しぶりだ」と珍しがる声が聞かれ、1㌔当たり4800~4080円の高値がついた。
同魚市場の令和6年度水揚げ実績は、本州一の水揚げを誇るサンマや巻き網、一本釣りのカツオが伸び、数量が前年度比23%増の2万6538㌧、金額(税込み)が同19%増の67億516万円で、数量、金額ともに5年度を上回った。定置網の水揚げはこれから本格化するとみられるが、急潮被害や火災で例年通りの操業ができない漁場もあり、本年度の水揚げへの影響が懸念される。
同魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「連休明けで数量も良くなるかと思ったが、雨もあり増えなかった。5月上旬はマグロ、下旬からはサバの時期になるが、サバやブリ類、スルメなどの不漁の不安が拭えない。黒潮の大蛇行は収まりつつあるようで、数量、金額ともに前年度超えといきたいところだが、今のところ好材料と呼べるものはなく、今後どうなるか」と話す。